短編2
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跳び箱の中

ほんじゃあてけとーに怖い話でも。

何年か前にちょっとだけ、

ボランティアというかお助けで、

地元の公民館に週2で行ってたんだ。

昼過ぎから夜まで子供たちが学校帰りに遊びに来るんで、

その監視と片付けを手伝ってた。

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で、そこにはおもちゃとか室内用の一輪車とか

けっこう豊富にあるんだけど、

その中でも一番でかくて、貫禄があるものがあって

それが「跳び箱」だった。

10段くらいあって、

なんで跳び箱がここに?って最初は思ったんだけどね

薄汚れてて、おもちゃ入れる倉庫の隅にぽつんとあった。

近くの廃校になった学校から譲り受けた物と聞いた。

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2年くらいお手伝い続けてたけれども、

私情で引越すことになった。

その日が最後のお手伝いっていう日に

子供たちは手紙とか折り紙で折ったお花とか

お別れの挨拶とかしてくれた。

で、閉めますよ~って言って

子供たちが全員出たことをいつもの様に確認して

電気を消して、公民館を閉めようとした。

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すると、おもちゃをしまってる倉庫から「ガタン」と音がした。

その後も「ガタガタ」と間をおいて物音がする。

今までそんなこと無くて、自分が来るのが最後だから、

子供が隠れて悪戯でもしてるのかなと思った。

でも、公民館の中は真っ暗。

もちろん倉庫も真っ暗だったので、

肝の据わった子だなーと関心してた。

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で、もう一度電気をつけて倉庫に向かった。

扉を開けると、誰かがいる気配はなく、

さっきまでの物音は嘘のように静まり返っていた。

でも物音の原因を確かめるためには

中を見てまわるしかなかった。

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一通り子供が隠れそうなところを見て、

誰もいないことを確認した。

最後に跳び箱に目がいった。

と同時にギョッとした。

持ち上げるときに手を入れる隙間から手がでていた。

出てるって言っても指まで。

人一人分の指が隙間からでていた。

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まぁびびったけど、指は子供の指だったので、

「ああやっぱり隠れてたんだな」と思い

声をかけて跳び箱に近づいた。

するとスルッと指は跳び箱の中に入っていった。

見つかったんだから声ぐらい出せばいいのに、

て思いながら跳び箱を持ち上げた。

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中には誰もいなかった。

びびりすぎてなにもいえなかった。

パニックになりかけたけど、そっと跳び箱を元に戻して、

足早に扉まで向かって電気をけした。

扉を閉めようとしたとき、音からして明らかに

跳び箱が持ち上がる音がした。

もうその後は一目散に逃げた。

Concrete
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