短編2
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海はイヤだ

先週海に行った時にそこで聞いた話。

毎年この時期水難にあって死ぬ人はやっぱり多いらしい。

で、海で溺れかけたけどなんとか生還した女の子がちょっと前にいたんだって。

その人浜辺に戻ってきてめちゃくちゃ震えてたんだって。

まあ一回溺れたら分かるけど確かにめちゃくちゃ怖いもんな。

でもその種の震え方じゃなかったんだって。

どうにか落ち着いた彼女が語った話はこう。

 

水中眼鏡をかけて海の中を潜って一人で泳いでたそうな。

結構息の長い方で、海中のいろいろな景色を楽しんでたんだって。

そんで息継ぎに海面に戻ろうとした時、下から足をガッと掴まれたらしい。

慌てて自分の足を見ると、水泳パンツ?だけを履いた、明らかにこの世の物じゃない、

白目のまったく無いガラス玉のような目をした男の子が自分の足を引っ張ってたんだって。

恐怖と息苦しさでパニックになりながら「助けて!お願い!私はまだ死にたくない!」って必死で念じたそうな。

でも男の子は掴んだ手を離さない。

男の子の顔はなぜか悲しさと恐怖に満ちていたらしい。

諦めたように首をゆっくり左右に振ったんだって。

男の子の体が、彼女の足を掴んだままゆらりとのけぞるように横に揺れる。

その時溺れかけた彼女が見た物は、男の子の足を更に下から掴む、防災頭巾をかぶった女の子の姿だったらしい。

そして、更に水中のもっと深く暗い所から無数の水死者?が彼女のもとに向かって集まって来ようとしていたそうだ。

なんのために?引き擦り込む為に。決して逃がさない為に。

女の子はこの時点で奇跡的に他のスイマーに助けられたそうです。

その話しを聞いてから海がイヤでたまらなくなりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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