実話です。
うちの階段は急だ。
しかも狭い。
今は壁紙を替えたから多少明るくなったが、前は木の板が壁だった。
階段は壁に囲まれていて、
階段の入り口に立たないと誰が登って来ているかわからないので、鉢合わせてぶつかることもあった。
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そうならないよう、階段を使うときは足音に注意していた。
ある夜、2階にいたおとこやまは、1階にいこうと、いつものように階段に向かった。
誰か登って来る気配はなかったので、
ふつうに行った。
階段の一段目が壁の影に見えた時、
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shake
手。
階段に這いつくばる手が見えた。
ゾッとした。
這い上がってくるその手の主をみると、
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弟だった。
「ついに化け物に出会ったかと思ったじゃねぇか!」
というと、
「いや、もう出会ってんじゃん。」
とおとこやまの背後を指差した。
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妹だった。
作者おとこやま