短編2
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空想化学少年&少女

皆ドコかに行ってしまい誰もいなくなった惑星。

その最期の日々。

惑星は病気。

そのせいで赤くなってきている。

ここに一体の忘れ去られた男性型のロボットがいる。

彼は機械の身体であったが、心はまるで人の様であった。

そしてここにも一人の奇特な女性科学者がいた。

彼女は人間だが、その心はまるで機械の様であった。

惑星最期の二人はヒョンな事からなんとなく一緒にいることになる。

彼女はいつも難しい理論のもと、空に海に薬品を撒いて惑星の死を何とか食い止めようとした。

彼は彼女の身の回りの世話をし、その生活の中で彼女を知りたいと思うようになった。

しかし彼女は自分の感情を口にすることはない。

誰も心の中を知る事は出来なかった。

それでも彼はいつまでも一緒に居られる事を願った。

久しぶりに風が吹いて気持ちのいい日だった。

彼が祈るそんなささいな願いは、はかなくも散る事となる。

床に彼女は倒れていた。

彼は彼女を抱きかかえた。

『ハカセダイショウブデスカ?』

皮肉な事に彼女は初めて自分の感情を口にした。

『無駄な事だったみたいね。疲れた…最期に海が見たい……』

彼はこの惑星で唯一となった海に彼女を連れていく。

波打ち際まで行くともう動かなくなった彼女に海を見せてあげた。

何度波が打ち寄せてはひいただろうか。

彼は嘆いた。

俺が本物だったらと。

いつまでも立ちつくした。

やがて彼女の亡きがらは海に帰り、彼は長い年月で錆の塊になってしまった。

それは理解しあえなかった二人の願いがこめられた墓標の様に。

怖い話投稿:ホラーテラー ド根性トカゲさん  

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