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中編3
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憑かれた出張④

北海道旭川在住です。

これは10年前秋口の出来事です。

当時私は2t箱車のトラックドライバーをしておりました。

道東担当で毎週1泊2日で決まったルートを走るルートセールスってやつです。

道央の日帰りコースを担当していた同僚が退社した為に私が担当することになりました。

この路線は毎週土曜日の定期便で次の日は休みだし荷物も少ないのでハイエースで廻る楽なコースなんです。

毎回朝から日高吾郎ショーを聞きながらドライブ気分での営業でした。

毎回同じルートで走っていたのですが、その日はいつもの道が通行止めになり大渋滞!

どうやら事故の様で遥か前方に煙が上がり消防車・救急車・パトカーが見えます。

「これはしばらく動かないなぁ~」と思いUターンをして違う道から向かうことにしましたが考えることは皆同じで回り道も動いてはいますが渋滞しており抜けるまでに大変な時間が掛かってしまいました。

いつもより遅くなりお客さんも皆心配しておりましたが事故のことで良い話題が出来て各得意先で話してまわりました。

とりあえず営業を終えいつもよりかなり遅れて旭川に戻っておりました。

カーラジオはAMからFMに変えサントリーサタディウェイティングバーAVANTIが流れており

「もうこんな時間かぁ~」

などと思いながら走っておりましたが朝の事故が気になっていたので野次馬根性丸出しで事故現場に向かっておりました。

事故現場に近づくにつれ「この路線事故発!!」の看板が!!

最近廻り始めたルートなので

「あ~やっぱり事故多いんだなぁ~」

なんて考えていたら急に右肩が重くなって来ました。

右腕もしびれてきて右手は異常に冷たくなっているのが判り「何か嫌な感じだなぁ~」と思いながら事故現場に差し掛かり車両の炎上により焼け焦げたガードレールに目をやると・・・・・

焼け爛れた3体の人影が立っていました。

男性と女性それに子供とおぼしき人影・・・・・

「ああ・・・家族だな」と想像出来る光景です。

周りに車がいなかったこともあってたっぷりと徐行していた為にはっきりと目に焼きついてしまった私は「憑いて来ないでぇ~~~~」と思いながら車のスピードを上げました。

緩やかなカーブに差し掛かった時

「ズン」

と車内の空気が重くなりハンドルが動かなくなりました。

慌ててブレーキを踏もうとしても足が動きまん

目をやるとそこにはよく心霊体験の再現ドラマにある様な光景が・・・・・

ハンドルは焼け爛れた母と子の手に握られ私の両足は父親にしっかりと握られ膝の辺りに半透明の親子の顔が3つ・・・・

車はどんどん反対車線のガードレールに向かっています。ハンドルも足も全く動かず

「これはシャレにならん!」

と諦めかけていたら今度は車内に

「お前も死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね・・・・」と男性の声

それに混じって「あついあついあつい」と女性の声と「いたいいたいいたいよ~」と子供の声が聞こえます。

本当に再現ドラマとリンクした現実に

「駄目かも・・・」と思った時急に目の前が明るくなりました。

「はっ!」と我に返ると対向車がパッシングしながら走ってきます。

その瞬間ハンドルも足も動くようになり急ブレーキ&急ハンドルでガードレールに擦る様に止まりました。

多分3~4秒位の出来事だったと思います。

対向車は怒り半分、心配半分で降りてきましたが何かが見えたのでしょう!

私の車に手を掛けようとした所で血相を変えて車に戻り走り去っていきました。

私は少しの間、呆然としていましたが

「こういう時はこの後に死ねば良かったのにって聞こえるんだよなぁ~」なんて考えていましたがそれは聞こえませんでした。

気を取り直しそこからは安全運転で旭川に帰り次の週から営業ルートを大幅に変更し二度とその事故現場は通っていません。

その後もその現場では事故が多発しており地元の者は殆ど通りません。

そんなこともあり事故で亡くなるのは観光で訪れる様な何も知らない方々が多いんです。

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