短編2
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子供の霊の正体

もう随分昔の話しになるが 私がまだ十代だった頃…

真夜中一時半くらいに先輩の家に向かい 一人歩いていた

その道すがらに一軒の空き家があり

その家から木戸が風に揺れ軋むような音が聞こえて来た…

ギィ~ギィ~と何度も何度も…

するとその音はどんどん大きくなり

最終的に私は音に包まれたような感覚になった…

さすがに気味悪くなり立ち止まると

その音はスイッチを切ったように鳴り止んだ…

一瞬『えっ?』と思ったのも束の間

誰も居るはずのない私の真後ろから

子供の声で『…おぃ…』と一言

思わず私は後ろを振り向いたが

誰も居らず

再度歩き始め2~3歩進むとまた『…おぃ…』と呼ばれた

そんな体験をした事を その空き家の近所に住む後輩に話した

すると後輩は…

『それって 夜中の2時近くじゃないですか?俺も子供の声聞いた事ありますよ』と言い出した

どんなのだったか訊ねると…中学三年の時に部屋の灯りを消し

机のスタンドライトのみをつけ勉強していたらしい

すると表で誰かの喋り声がするので

耳をすますと子供の声だったので

何気に時計を見ると 夜中の2時近くになっていて

気持ちが悪いので

早々に床についた

しかし子供の声が気になり なかなか寝付けずに居ると

明らかに声がさっきより近くなってる!

確実に庭まで入って来て居ると思った刹那 今度は部屋の窓のすぐ外に居るのが

わかったらしい

そしてその子供は

何を言っていたかと言うと…

『…お母さん…何故…僕だけ…何故…僕だけ…連れてってくれないの…』と

ずっと言っていたらしいのです

後程わかったことなのですが

始めに話した『空き家』で以前 その後輩の母親がトイレで子供を産み落とし

その子供は死んでしまったと言う事件があったらしいのです

その周辺の方々は

『暗黙の了解』の如く誰も口にはしないのですが…

ある一人の方が私に真実を教えてくれました

どこか悲しくも思える体験でした…

怖い話投稿:ホラーテラー モホロビチッチさん  

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