姦姦蛇螺。
世にも恐ろしい話ですよね。
しかし、間違った情報さえ簡単に流れてしまう現代のネット社会。
この姦姦蛇螺の話も例外ではありません。
真相が歪められたまま伝わるのを防ぐため、今日はこの大日本異端怪談師がお話をさせていただきます。
それはそれは、恐怖のカーテンに覆い隠された悲しい物語。
・・・。
凛は普通の家庭に生まれた女の子。
六人家族の末っ子として生まれ、とても可愛らしかった。
ただ、他の子供と少し違うところが。
三歳になった頃から、凛の身の回りで不思議な出来事が起こりだした。
動物が家の周りに集まりだしたり、家の中のものが勝手に動いたり。
そんなことが度々起こった。
家族は凛をとても可愛がり、ある日巫女の修行に連れていった。
ここで何らかの才能が開花するかもしれないと。
予想は見事的中し、凛は巫女として様々な「術」を覚えた。
6歳になり、「学び舎」という今でいう学校に通い始めた。
巫女ということで一役有名になり、村で知らない者はいなくなった。
そんないい気分をしたのも束の間。
まだ、「術」のコントーロールがうまくできない凛は、友人に迷惑をかけることが多々あった。
「術」で怪我をさせてしまったり、喧嘩の時も「術」を使って卑怯だと言われたり、挙句の果てには呪われると言われ、本当に辛かった。
でも、家族は味方だった。
結局学び舎に行くのをやめ、巫女として将来仕事をすることを許してくれた。
自分が生きることで周りの人間が傷つく。
それなら、私は表に出なくてもいいと。
なんて優しい子なのでしょう。
以来、凛は神社では神主さんのお手伝いをしながら、家では家族に勉強を教えてもらいながら生活することにした。
友達もできないのかなと寂しく思っていたある日、神社に同い年ぐらいの男の子がやってきた。
仲良くなり、ほぼ毎日神社に遊びに来た。
村人は凛とその家族を疎ましく思っており、神社の外で遊ぶことができない。
境内でしか遊べない少女、外には怖い人がたくさんいるから。
・・・。
夜眠りにつく時、急に苦しくなる。
人ってなんて怖いんだろう。
そんな気持ちに耐えられなくて、一人になるのが嫌になる。
でも一緒に居てくれる人はいない。
また苦しくなる。
・・・。
よく遊びに来てくれていた男の子。
もう友達ではなかった。
恋人同士になり、将来を見据えていた。
凛も神社を一人で管理できるほどに成長し、村の人々のために尽力した。
村人も彼女を見直し始め、神社にたくさんのお客さんが来るようになった。
そんな時、少し離れた村で大きな人食い蛇は暴れているという話が入った。
この時から、凛は何となく覚悟していた。
平和な日々が続けばいいのに・・・。
・・・。
蛇の話は次第に大きくなっていった。
村を荒らし、大地を赤く染め、次の獲物を探す。
惨劇に怒りがこみ上げる。
この村で止めようと村人が立ち上がった。
凛の「術」の訓練はより一層厳しくなった。
これに勝たなければ未来は無い。
・・・。
小さめの地震。
大蛇が近づいてきている。
女・子供を安全な場所に避難させ、男共が武器を構えた。
いつ来てもいい。
凛も戦闘準備した。
次第に大きくなり、木々の折れる音も加わった。
来る・・・!
ギャオオオーーー!
戦意喪失した。
勝てるわけがない。
あまりにも大きすぎる!
締め付けられる者、噛み殺される者、尻尾の下敷きになる者、人数がどんどん減っていく。
「クソーーーっ!!」
一人が飛びかかった。
「ウォーーー!!」
口火を切ったように村人が攻撃を開始した。
凛も「術」で援護攻撃する。
無慈悲に噛み砕いていく。
硬い鱗に手が出ない。
男の数が減り、女・子供を襲いだした。
木で出来た家などすぐに壊される。
愛する者が殺されるのを見せつけられた。
もう、耐えられない。
凛は足下を見た。
父と彼氏が転がっていた。
許さない。
蛇と一対一で戦うことにした。
今までに培った「術」の全てを使って戦った。
蛇が怯むこともあったが、やはり強い。
もう一発、うっ・・・。
誰かに殴られた。
村人が一気に凛に襲いかかる。
凛「・・・なんで?」
殴る蹴る。
意識朦朧となった。
村人「おい蛇よ、今からこの変な娘をお前にやる。だからこの村はこれで勘弁してくれるか。」
そう話している間に別の村人が凛の身体を鉈で切り始めた。
凛「hkだじすおljc;kbさ!!」
とてつもない痛み。
捥いだ腕を蛇の方に投げた。
村人「若い娘だからな。うまいだろ。」
腕、足、どんどん投げ入れていき、下半身がなくなった。
最期に見たのは汚い村人共のツラ。
やっぱり人間ってこうなんだね・・・。
村人「せーのっ!」
凛の全てが蛇に呑まれた。
結局蛇はこの村を最後まで荒らして去っていった。
・・・。
姦姦蛇螺。
今宵も村人の四肢を喰らう。
多数の腕と血だらけの下半身。
恨みを喰うことで晴らす。
でも、元は女の子。
汚い下半身は見せたくない。
そんな時は上半身だけ見せるの・・・。
友達がいなくて寂しかった子供時代。
寂しい気持ちは喰うことでは癒されない。
決められた柵の中で待ってるわ・・・。
作者退会会員
大日本異端怪談師です。
リング・ゼロのようなハイクオリティーな回想劇にはなりませんでした。
暇な方だけどうぞ。