昔小学低学年の時に猫を拾った。
アメリカンショートヘアーの猫。
しかし家の家族は猫嫌い。
買えない。
でも可愛い買いたい。
連れて帰った。
しかし、ダメだった。
「ダメ捨てて来なさい汚い!!病気持ってたらどうするの?」
…。
その時親ながらに憎んだ。
もし…自分がこの猫だったらと思うといてもたってもいられず自分の部屋に隠して飼う事にした。
親がいない時に餌をあげる。
餌は近くのコンビニで買う。
そんな事が2週間続いてとうとうばれた。
母親が部屋に掃除に入った時にばれたらしい。
いつかばれると思っていたけれど俺も何の解決策もない。
そりゃ友達にも頼ってみたが無理。
仕方なくもといた場所に戻す事にした。
それからというもの学校の帰りに餌をあげるのが日課になっていた。
猫も一日に一食ちょっとした餌だけ…とうとう死んでしまった。
悲しかった。
何より親を恨んだ。家はマンションでは無い、買えるはずだったのに。
猫の死体を埋めた。
近くに咲いてたコスモスをちぎり死体を埋めた場所においた。
俺自身元気がなくなった。
そんなある日友達が元気が無い俺を気遣い遊びに誘ってくれた。
俺が住んでいた街にはちょっとした心霊屋敷がある。
何年も人が住んでなく今にも崩れ落ちそうなその見た目なだけに誰も近づかない。
噂では、ここに来ると死にたくなるそうだ。
かなり鬱になっていた俺はそんな事はどうでもよかった。
どこにいても何をしていても考えてしまうのは猫の事ばかり。気が紛れるならとその日友達とその心霊屋敷を探索した。
次の日39.8度という高熱。当然学校は休む。
寝る事もできず寝たら嫌な夢を見る。
目の赤い女が追いかけて追いかけてどこに隠れても見つかってしまうという嫌な夢。
怖かった。
熱も下がらない。
その日も寝れない夜。暑いし苦しい、しかしいつのまにか寝ていたみたいでまた夢を見てしまった。
夢の内容は女がとうとう俺を捕まえて首を閉めるというもの。
たまらず起きた。
首には先程まで誰かが触っていた感触があった。
その時誰かが部屋のドアを開けた。
見ると夢で見た女が立っていた。
なんで…霊感も無いのに見えるんだ?
心霊屋敷から憑いて来たのか?
恐怖感というより疑問の方が頭の中にたくさんあった。
ギィー
ドアが開く。
その時だった。
「シャー」
「シャー……ウゥーシャー」
それは女からではなく女の後ろ辺りから聞こえた。
えっ?猫の声?
俺の頭はパニックだった。
すると女はスッーと消えた。俺は少し間を開け部屋の電気を付け先程女がいたドアに向った。
誰もいない。
当たり前だが猫もいない。
しかし、足元をよく見るとコスモスの花びらが落ちていた。
廊下の電気を付けたら猫の足跡もあった。
涙が出た。
助けてくれた。
あのノラ猫が…。
俺は助けてくれやれなかったのに。
2日後すっかり元気になった。
日曜日だった事もあり猫の墓参りに行った。
着いたらかなり驚く事があった。
死体がなくなっていた。
風が吹きコスモスが踊る様に揺れる。
猫の墓のコスモスの花びらは二杯ほどないが元気いっぱい太陽を浴びている。
俺はあの猫の事を決して忘れないだろう。
現在は25歳になった俺はノラ猫を見るとついつい餌をあげていまう。
作者bhjkas