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中編4
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若き日の肝試し 廃墟

これはまだ二十歳前の話。 あの頃は社会に出て働いて給料をもらいはじめ、

中古ながらも車も持って、

やっと親の手を離れ

いっぱしの大人になった気分でした。 車を運転する事がおもしろくて、

よなよな友達と夜のドライブに

出掛けたものでした。

でも、しばらくすると

目的地なしのドライブにも飽きて

いつの間にか心霊スポット巡りをするように

なってました。 それぞれがもちよった情報をネタに

その場所に実際にいき実際に

検証してみようと言うものでした。

今回はその中から、

実体験したお話を紹介します。

この日は、三人で検証、

場所は廃墟になった旅館。

観光スポットなのでホテルや旅館は

いくつかあったのですが、

建物が古い為か客があまり入らず

潰れてしまったとの事でした。

はじめはその建物に暴走族などがはいり、

スプレーなどで壁に

落書きなどしていたようで、

そのうちそこで霊の

目撃者がでるようになり、

あっと言う間に

心霊スポットとなったようです。 その日、話を持ってきた友人の車に

私ともう1人A君が乗り現地へ到着、

想像していた以上に建物が古く

傷んでいたのが第一印象でした。

これをみて一瞬躊躇しましたが

いつものように、

何かあった場合にそなえて

クルマのエンジンをかけた状態で

1人には車で待機してもらい、

私とA君が中へ入る事になりました。 建物正面にはられたロープをくぐり

入り口に到着、中に入るとすぐ

足元にガラスが散乱しており、

歩くたびにバリバリと割れる音がして

怖さをかきたてました。 まわりを懐中電灯で照すと

受けつけらしい場所があり、

そのまわりには壊れたイスも

散乱していました。 二人とも緊張しながらも奥に進むと、

二階につながる階段を発見。 上がってみようと言う事になりましたが

二人とも先に上がるのが嫌で

結局じゃんけんで決める事になり、

Aが先頭で上がる事になりました。

懐中電灯で上を照らしながら

踏み外さないようにゆっくりと

確実に登っていき、もう少しで

二階につくところで急に

Aが立ち止まりました。

私は不思議に思い、どうした?

と訪ねるも彼は無言。

顔を照すと汗ビッショリで

ひきつった顔をしていました。

それをみて私もビビりながら

強い口調で早く先にすすめよ!

とどなりました。

すると彼は手を震わせながら

自分の足元を指差しました。

恐る恐る彼の足元へ懐中電灯の光を

照らしていくとなんと!

彼の両足首をいくつもの手が

重なるようにしてつかんでいました。

それをみた私は怖さのあまり、

言葉にならないような

奇声を発してしまいました。

もうとにかくこの場から

逃げ出したい一身で

Aの肩をむりやりひっぱり

急いで階段を降り、

外まで走りました。

そこからは急いで車に乗り込み、

何が起きたかわけがわからないような

状態でしたが

とにかく車を出してもらい

その場を逃げ出しました。 車の中で運転手の友人に

いろいろ聞かれましたが

とても話す余裕もなく、

Aにいたってはほとんど失神状態でした。 それから数ヶ月は

心霊スポット巡りは止めてましたが、

その後仲間も増えて

また行くようになりました。

その話はまた後日。

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