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これは私が小学6年生の時の話です。
うちの小学校では6年生になると「自然教室」っていう行事があって、簡単に言うとキャンプみたいなのがあったんです。
皆でご飯作ったり、川で魚釣ったり、キャンプファイヤーをしたり…
他にも自然教室では毎年恒例にしているものがあります。
「肝試し」です。
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肝試しを行うのは宿泊しているログハウスのすぐ近くの森の中で、暗い道を懐中電灯で照らしながら、ただただ歩くだけというものでした。
歩くルートが記載されている地図は事前に配られており、グループは一班3人編成。
前の班が肝試しをスタートしてから少し間隔を空けるために5分後に次の班がスタートするというルールでした
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前の班がスタートしてから5分経過し、僕達の班も歩き始めました。
自分の班は仲の良いA君とB君が一緒だったので、
A君「どうせだったら女の子と手つないで歩きたかったな〜」
B君「そんで、キャーこわーいなんていって抱きつかれちゃったりして」
自分「おまえらバカだろ!」
なんていうしょーもない会話して歩きながらゲラゲラ笑っていました。
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地図の通りに進んで行くと、林の中からウワァーと言いながらお化けのコスプレをした先生が脅かしにきたり、怖がらせる為に設置したと思われるガイコツなんかが出てきました。
そんな仕掛けで怖がる奴なんているのかと、3人共バカにしていました。
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街灯の明かりなんて一つもない、真っ暗な森の中を10分くらい歩いたときです。
二手に分かれた道が現れました。
B君「おっかしいな…こんな道地図には書いてないんだけど…」
地図を見ていたB君が不思議そうに言いました。
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左側の道はロープで入り口が塞がれていて、
普通に考えれば右に行けばいいと思うんですが、僕たちはバカなことをしてしまったんです。
A君が急にこんなことを言い出したからです。
A君「なぁ、このままだとつまんないからさ、ちょっとルート外れて探検してみない?」
確かにこのままだと退屈だなぁとB君も自分も思っていたので、A君の提案に乗っかって、わざと左に曲がって歩いてみようということになりました。
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ロープを飛び越えて奥に進んで行くと、何かさっきまで歩いてきた道と明らかに違いました。
何か空気が重い…そしてこの先に進んだらイケナイような気がしてきたんです。
ただ、そう思っていたのは自分だけで、
自分「ねぇ、やっぱ元の道に戻んない?」と言っても
A君「うわー、お前ビビリだな!」
B君「怖がってやんの!ダッサー!」と笑いながら言ってきて、全く何も感じていない様でした。
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さらに奥へ進んで行くと、さっきまで余裕そうだった2人から笑顔が消えました。
B君「これ…何?」
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目の前には大きな鳥居。色は苔で緑色、柱には無数の紙みたいなのが貼られていました。
A君「お札じゃないの…これ」
自分「触んない方がいいって!絶対ヤバいって!」
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このとき、おとなしく来た道を引き返せばよかったんですが、鳥居の奥にまだ道が続いてることを見つけてしまったんです。
A君「奥に進んでみようぜ…」
自分「嫌だよ!これ以上はマズいって!」
A君「じゃあお前一人でここに残れ。おれはBと一緒に奥に行くから」
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奥に進むのも嫌でしたが、たった一人で鳥居の前に残るのはもっと嫌でしたので
渋々自分も2人について行くことにしました。
鳥居の奥は木々が生い茂り真っ暗。
奥へ奥へと進んで行くと、建物が見えてきました。
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自分「神社…?」
神社と思われる廃墟は屋根がボロボロで所々崩れて穴があいていて、入り口にある石でできた狛犬は何故か首から上がありませんでした。
神社の近くに来た途端急に強烈な腐敗臭がしてきて、さすがにA君とB君も気味悪がって神社の中に入ろうだなんて言い出しませんでした。
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このまま帰れば良かったのですが、僕たちは気付いてしまったんです。
B君「えっ…あれは…」
神社の中、懐中電灯で照らした先には女の人が立っていました。
背中を向けて赤い着物を羽織っており、体の上半身をユラユラ揺らしていました。
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見た瞬間に3人共気付きました。生きている人間じゃないと。
何故なら着物だけでなく肌の色も真っ赤で、上半身を揺らすたびにゆれる長い髪も真っ赤に染まっていたからです。
たまらず自分達は「うわっ」と声を上げてしまい、その声に反応するように赤い「なにか」が振り向きました。
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その顔を見て、さらに悲鳴を上げてしまいました。
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shake
A君「顔が!顔が溶けてる!!」
B君「ばっ、化け物!!」
僕達の存在に気付いた赤い化け物は、低い声でブツブツ言いながらこちらに向かってきました。
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「ココカラダセ…ココカラ…ダセ…」
3人「ウワァー!!!!!!!」
僕達は命の危険を感じ、全速力で走って逃げました。
走っている時も後ろからついてきているのがわかりました。
声がずっと後ろから聞こえてくるのです。
「ダセ…ココカラ…ダセ」
「コロス…ダセ…ココカラダセエエエエ!!!!」
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その声を聞いて確信しました。
追いつかれたら死ぬと。
僕達3人は懸命に走って、鳥居の外側まで戻ってきました。
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するとさっきまで後ろから聞こえていた声がしなくなり、赤い化け物の気配が消えた事に気付いたんです。
安心して僕達は足を止めました。
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自分「声…止んだね…」
A君「うん…あきらめたんだろ、追いかけるの」
B君「アイツいったいなんなんだよ!幽霊とかそんなんじゃないよ!」
自分「だから行くのやめようっていったんだよ!」
A君「なんだよ!最初は乗り気だったくせに!」
B君「鳥居の中に行かなければこんな事になんなかっただろ!」
僕達はパニックのせいで口論になってしまいました。お互いに言い合っていたその時ー
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「ココカラ…ダセ…」
突然聞こえた声に驚いて、口論がピタッと止まりました。声のした方向をゆっくり振り向いてみると、
鳥居の下に立っていたのです。
顔の肉が腐敗してぐちゃぐちゃになっている真っ赤な女が。
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shake
「ココカラ…ダセエエエエ!!!!」
3人「ギャアアアア!!!!」
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その後、僕達3人は一言もしゃべらずに肝試しのゴール地点まで走って逃げました。
僕達がルートを外れて廃墟に行った事、そこで見たもの、全部説明しました。
でも誰一人信じてくれませんでした。
それと、僕がゾッとしたのはクラスの一人一人に確認をしたところ、
「途中二手に分かれた道なんて一回もなかったよ?」と全員が答えたことです。
僕達3人はいったいどこに迷い込んでしまったのか、あの赤い女は何者なのか結局わからないままです。
作者まーくん
文章ヘタクソです。でも実話です。