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短編2
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獣の手

自分が以前に住んでいたマンションでの話です。

私たち一家は全員何かしら霊体験をしたことがあり、特に父と一番下の弟は霊感が強く

父は見えはしないけれど感じる、弟は見えるそうです。

そんな弟から聞いた話です。

そのマンションの部屋は3つの部屋とリビングがあるのですが

玄関があり、短い廊下とリビングを擦りガラスが張ってあるドアで区切られていました。

私の部屋はその玄関の脇にあり、弟の部屋はそのドアの真向かいにあります。

玄関は窓がないために電気をつけないと真っ暗でした。

なので昼間に玄関を開けると外からの光で一瞬明るくなるのですが、ドアを閉めていても擦りガラスのおかげで弟の部屋にいれば誰か帰ってきたのがすぐ分ったそうです。

ある日、弟が部屋にいる時擦りガラス越しに玄関が明るくなったのが見えました。

誰かが帰ってきたのだな、と思っていたもののドアが開かなかったので私が帰ってきてそのまま部屋に行ったのか、とそのまま部屋でくつろいでいたそうです。

しばらくして、また玄関が明るくなりました。

今度もドアは開きません。

何かを察したのか、弟はドアを開けて私の部屋をノックしました

弟が思ったとおり、私は部屋にいました。

いつ帰ったのか、と聞かれて私は正直にさっき帰ったばかりだと答えました。

その時に弟は見てしまったそうです。

私が開けた部屋の扉の下から獣のような手が伸びてガリガリと扉を引っかいているのを

弟はその時私に何も言えず、数年後今住んでいる家に引っ越した後で私にこの話をしてくれました

正直、なぜ話してくれなかったのかと今でも思います。

Concrete
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