中2の夏。俺は吹部の先輩達と一緒に肝試しをやりに行った。
俺が住んでる場所は結構な田舎でもう人の住んでない古い家やいかにもでそうな雰囲気の病院などが多くあった。
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今回肝試しをやる事になった場所はそこまで怖くはなかった。ただの森である。
理由は推測ではあるが俺以外の先輩達が全員女子であまり怖い場所を選ばなかったのだろう。(ならやるなよとは言わないように)
実際森の中に入っても怖い場所は一つもなかった。
ーひとつを除いて
森の奥に行くと小さな小屋があった。もう建てられてから何年も経ったような不気味な小屋だった。
あまりに何もなかったからという理由で俺達は小屋の中に入った。
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中に入った途端俺は何か妙な感じがした。
俺達がその小屋に入った途端外で鳴いていた虫の声がピタッと止んだのだ。
小屋の中には一つの箱があった。その箱にはびっしりと札が貼られていた。
そして真ん中に赤い字で「禁忌」と書かれていた。
俺はどういう意味かまでは分からなかったがなんかヤバイというのは分かった。
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しばらくして先輩の一人(今後Mとする)が
「誰かこの箱開けてみない?」
と切り出した。こんななんもないスポット選んどいてよく言うなと思った。怖いのダメなんじゃなかったっけ?
するともう一人の先輩(今後Lとする)が
「いや、それは開けたくない。」
と言った。同感だ。俺とL先輩は霊感が強かったので中の何かが危ないものだと普通に分かっていた。
するとM先輩が
「じゃあうちが開けるよ?」
と言って箱を開けた。
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開けた途端M先輩は固まった。その場に立ち尽くしてた。俺が
「先輩、何が入ってました?」
と聞いたら先輩は震えながら
「…日本人形」
と答えた。
箱の中を見てみると髪の長い日本人形が一つ入っていた。ただ、その日本人形は目が真っ赤で、なんとも言えない恐ろしい表情をしていた。
俺はこれはヤバイと思って先輩達に
「帰りましょう!」
と促して急いで森から出た。
が、出て来たのはL先輩だけだった。
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「あれ、M先輩は!?」
とL先輩に聞いてみたがL先輩は
「え、○○と一緒じゃなかったの?」
と首を傾げていた。
「え…一緒じゃありませんけど…」
「あれー?どこ行っちゃったんだろ?」
そうなるとM先輩はまだ森の中にいるのだ。
「来るまで待ちますか?」
「そうだね」
そう言って俺達は近くの木によりかかった。
その時不意にL先輩が
「あの人形ってさ、何で怒ったと思う?」
と聞いてきた。
「…怒った?」
俺は聞き返す。
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「あ、○○は見てなかったかもだけどMが箱を開けた時はまだ普通の顔だったんだよ。」
ー普通の顔?
「だけどMを見た途端目が真っ赤になって怖い顔になったんだよ。」
「へぇー…」
開けなくて良かったと思った。アレはやっぱりヤバイものだったようだ。
ー30分位たった。
M先輩がまだでて来ない。妙だ。
走っていたとはいえ俺達は5分もしないでここについたのだ。歩いても10分あればつくだろう。
「…Mが来ないよ…?」
とL先輩が言った。
その時L先輩のケータイに着信が入った。
M先輩からだった。
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「もしもし、M?今ど…」
「イマカライクカラマッテロ」
聞いた事のない声だった。L先輩はケータイを投げ出してた。その直後森の奥から足音が聞こえてきた。その足音はだんだん近くまで迫ってきた。
俺はその足音が何かすぐに分かった。
ー人形だ。
俺は先輩のケータイを拾って先輩の手を引いて急いで逃げた。
このままじゃ殺されると思った。
足音はその後しばらく追ってきたが家の近くまで来ると足音は消えた。
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その日はお互いに怖かったのでL先輩はうちに泊まっていった。だけど家の中でも安心できなかった。L先輩のケータイに着信が入ってきたのだ。もちろんM先輩の名前で。
何回か忘れたけど10回ぐらい鳴り続けていた。
そしてそのあと、メールが送られてきた。
開くのも嫌だったけど見てしまった。
そのメールには血だらけのM先輩の写真が載せられていた。そして下にはこう書かれていた。
ーつぎはおまえだ
これは流石に俺の親に二人で相談した。
すると、親は
「そっちのMちゃんって子は明日お祓いしてもらいなさい。お前も一緒に行ってきなさい」
と言った。
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次の日の朝早く俺達は地元で有名な巫女さんの元へ行った。まだ二十歳前後の年齢なのだがかなり力の強い人で有名だった。
お祓い自体は一時間ほどで終わったが、終わった後巫女さんは
「今後森には近寄らないように。」
と言った。あの森の事だろうか。
その後は特に何も起きなかったが、M先輩がどうなったのかは高2の今も分からない。
それに未だにL先輩のケータイに着信が入って来るのである。M先輩のケータイから。
作者呪いの陰陽玉