俺が中学2年位の頃の話。
俺は2つ離れた姉とと夏休みに祖母の家に行った。
いや、「元」と行った方がいい。なぜなら祖母は俺達が遊びに行く少し前に亡くなったからであった。
家の中に入ってみると思ったより広かったが電球などがなく昼間でも薄暗く不気味だった。
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なぜ俺達が祖母の家に行ったか。
それは祖母の部屋の上にある部屋を見るためであった。
祖母が生きてる頃によく遊びに行ったがその時は上にある部屋に入ろうとすると祖母に厳しく叱られた。不謹慎な話ではあるが俺は祖母が死んだら絶対見にこようと決めていた。
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俺達は祖母の部屋に荷物を置いて上の部屋に行こうとしたが、部屋の前の階段辺りでとても嫌な感じがした。なんというか、誰かにストーカーされてるような気分である。それは姉も同じ様だった。それでも部屋へ行こうと階段を登ってる途中に俺は誰かの声を聞いた。
??「おーえ--いだ。」
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俺「姉貴、今何か言ったか?」
姉「え、何も言ってないけど・・・」
俺「あれ、マジで…?」
姉「ちょっと怖くなるからやめてよ」
俺「あぁ、悪りぃな」
とか話しているうちに部屋の前についた。
せーので扉を開ける。
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その部屋は壁一面に謎の札が貼られ、その部屋の真ん中に「魔除け」と書かれた鏡が置いてあった。
姉「え、何この鏡…」
と言いかけた瞬間、その鏡が音を立てて割れた。姉貴は悲鳴をあげた。
俺「何だ?どうした?」
姉「鏡が…鏡が割れたの!!」
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俺「はぁ?何か触ったんじゃねーの?」
姉「ううん、何もしてないよ!!」
俺「嘘つけ。てかどう割れたの?」
俺は鏡を覗きこんで驚いた。割れているせいでよく見えなかったが俺の後ろの姉貴の横に目のない少女が写っていたのである。
それと同時に下の方で何か物音がした。
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俺「なぁ、姉貴。」
姉「な、何?」
俺「今したの方で…」
姉「うん、何かが…」
俺「…行くか?」
姉「うん、もう帰る…」
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俺達は降りた後に荷物を開けてみた。
俺の荷物には何も変化がなかったが姉貴の荷物には見覚えのない紙が入っていた。
姉「ねぇ、何か入ってる」
俺「何その紙、開いてみ?」
その紙には赤い字でこう書かれていた。
ーオマエモタタリデシネ
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姉「たたりで死ね…?何これ…」
俺「てかお前も…?前に誰か死ん…!!」
俺はふと気がついた。上で書いてなかったが祖母は急に死んだのである。本当に急に死んだのだ。心臓麻痺でも起こしたかのように。
姉「お前もって…おばあちゃん?」
俺「だね」
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姉「じゃあ本当に…」
姉の声は震えていた。無理もない。こんな非現実的なことが目の前で起きているのだから。
姉「ねぇ、あたし死ぬの?」
俺「あぁ、多分死ぬ。」
姉の顔から血の気が引いた。俺は続けた。
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俺「さっき割れた鏡を見た時姉貴の横に少女がいた。目のない少女が。」
姉「…!!」
姉は何かを見て口を開けていた。俺の後ろ辺りを見て。
そして次の瞬間ー
ー上の部屋から何かの足音がした。
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俺達は一目散に逃げた。後ろを振り向けなかった。何かが追ってきていたから。
そして猛ダッシュで家に帰った。家の中ではさすがに足音はしなかった。が変わりにあの部屋の前で感じた嫌な感じがまたした。
それからしばらくして俺の周りから急にさっきの嫌な感じがなくなった。
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俺「あの気配は流石に消えたか」
俺は笑いながら姉貴に言った。が姉貴は首を横に振ってこう言った。
姉「すぐ近くに誰かいる…誰…?やめて!」
俺は戸惑った。何が起きたか分からなかった。
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姉「私じゃない!!私は何もしてない!!殺してなんかいない!!くるなぁぁ!!!」
父「おいっ!どうした!?」
俺の親父が部屋に入ってきた。助かった。
俺「姉貴が壊れた。」
父「!!おいまさか…」
父はどこかに電話をかけた後に
父「お前も一緒に来い!」
と言って姉貴と俺を車に乗せた。
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俺「どこに行くんだ?」
父「俺の知り合いがいる寺だ」
俺「姉貴はどうしたんだ?」
父「俺が知るか!だがお前のばぁちゃんも死ぬ三日ぐらい前に同じような事を叫んでいた」
俺「じゃあ、やっぱり…」
父「お前ら今日あの部屋に入っただろ?」
ー何で知ってるんだ?と思ったが言わずに俺は頷いた。
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父「あの家の下には実は人柱が埋められているんだ。」
俺は驚いた。人柱?何のために?
父「何でもあの土地は飢饉が続いた時期があったみたいでそれをなんとかするために人柱を埋めたんだと。」
初めて聞いた。なんて場所に家建ててんだよと思った。
父「埋められたのは全員女の子でその子達はみんな埋められる時に目をくり抜かれたって言われている。」
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ーなるほど。それで目がなかったんだ。
父「あの部屋はその少女達の怨念から家を守るための部屋なんだ。魔除けの鏡と札で」
もっと早く言えよと思った。俺達はとんでもない場所に入ってしまったのだ。
父「よし、ついたぞ。」
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俺達は神社に入った。坊さんが来た。
坊「この子達ですか?怨霊に憑かれてしまった子供達とは?」
父「あぁ、そうだ。」
坊「でしたらこちらへ。」
俺達は広い部屋に入れられた。隅の方に塩が盛られている。
坊「いいですか?今から朝まで絶対にこの部屋から出てはいけません。声もだしてはいけません。私達がくるまで絶対にこの部屋の戸を開けないようにして下さい。」
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俺「寝るのは?」
坊「大丈夫。寝る分には問題ありません。」
それを聞いて俺は安心した。だったら朝まで寝てりゃ声なんか出さないし大丈夫と思った。
坊「ではこれからしばらくの辛抱です。」
そう言って坊さんは去った。俺と姉はお互い怖かったので抱き合うような感じで寝た。
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だが寝て3時間ぐらいした頃か。何やら部屋の周りをヒタヒタと歩く音で俺達は目を覚ました。その足音は、あの家の中で俺達を追って来た足音だった。そして外から
??「目ガナイ目ガナイ目ガナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイ…」
と口々に言う声が聞こえた。
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怖くて俺は声をあげそうになった。けどここで声をあげたら間違いなく殺されると思ったので黙っていた。そしたら最後に
「オマエノセイダ」
と言う声が聞こえて消えた。
その後は何も起きなかったが隅の盛り塩の色が白から血のような色に変色していた。
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次の日の朝、坊さん達に部屋からだしてもらった後は何も起きなかった。
ただどうしても今でも気になる事がある。
祖母の死因が俺達と同じだとすると祖母は何をして死んだんだろうか?あの魔除けの鏡が割れたのは俺たちが入った時だった。
つまり俺達があの部屋に入るまでは特に何も変な事はあの家になかったはずなのだ。
もしかしてー
ー俺の推測が本当ならー
いや、言わないでおこうか
作者呪いの陰陽玉