これは実話です。
私が中3の時、つまり高校受験の年のことす。医者を目指していた私の第一志望の学校は偏差値80近くで私の偏差値ではかなりギリギリのレベルの高い学校なので決めた時、両親にも反対されましたが、大好きなおじいちゃんだけは「大事なのは学校じゃない。目標に向かって全力で努力したら、どんな結果でもいいんだよ。」と言ってくれました。
11月、おじいちゃんは病気が少し良くなったので奈良から遊びに来てくれました。たったの3日間でしたが、私にとっては天国のような時間でした。「春休みに遊びにいくね。」お別れの時、おじいちゃんの後姿をみながら
何故だか急に涙が溢れでてきました。なんだかこれっきり会えなくなってしまうのではないかと思ったからです。「また…会えるよね…⁈」嫌な予感がしましたが、受験勉強に専念することにしました。
そして2月、受験の1週間前…。電話が鳴りました。なんとおじいちゃんからでした。それはいつもの元気なおじいちゃんの声でした。
「おじいちゃん、病気はどう?」
「おじいちゃんね、病気だいぶ良くなったんだよ。だから安心して、ゆみ(仮名)もがんばってね。結果はどうであれ、挑戦しようとする気持ちはとても立派だよ。おじいちゃんはずっとゆみの味方だから。」
「おじいちゃん…私、頑張る。」
お母さんに電話がきたことを言うと、少しびっくりしたような表情をしていました。
2月26日、受験当日。おじいちゃんの言葉のおかげか、落ち着いて取り組むことができました。家に帰ると、お母さんが泣きながら言いました。
「おじいちゃん亡くなったの。1月頃にはもうだいぶ悪かったんだけど、絶対にゆみの受験が終わるまで、帰ってくるな、それとゆみが心配するから、決してこのことは言わないでくれって。おじいちゃんね、毎日日記を書いてたそうよ。」
私は涙が止まりませんでした。こんなに泣いたのは初めてでした。それから後から知りましたが、あの時にはもうとてもじゃないけど喋れるような状態じゃなかったそうです。お葬式が終わった後、おばあちゃんからその日記を見せてもらいました。
2月23日 あと3日でついに受験だ。私も頑張って生きなければ。
2月25日 今日は○○高校。私立の難関校だ。ゆみの第二志望。
2月26日 ついに今日だ。ゆみ、頑張れ。 できればもう一度会いたかったよ。
そこからは先は真っ白でした。
「おじいちゃん…おじいちゃん!」
その日私はもうすぐ高校生だというのに泣き続けました。
2月28日、私はあの日記を抱きしめながら合格発表を待ちました。結果は…合格でした!そしてあの日記を開くと…
2月28日 「合格おめでとう!よく頑張ったね。ゆみが大人になるのを見守っていたかったけれど、おじいちゃんは天国でいつも見守っているよ。悲しまないで。おじいちゃんはゆみの心の中にずっと生きているんだから。」
ふと晴れた空を見るとおじいちゃんのにこにこ笑った顔が見えたような気がしました。
作者名無し06