サンタの服は魔法の服だ。着ていれば風も寒さも感じず、しかも家の壁をすり抜けられる。
トナカイのソリは魔法のソリだ。光の速さで空を飛び、乗り心地は最高だ。
クリスマスの夜、サンタが子供の枕元にプレゼントを置こうとすると、そこで手紙を見つけた。
「サンタさん、毎年ありがとう。
僕はサンタさんが大好きです。
大きくなったら、僕もサンタさんになりたいです。」
子供が起きてしまうかもしれなかったが、サンタは涙を流して喜んだ。
「ありがとう」
サンタはそう呟くと、その子をソリに乗せて空へと飛び立っていった。
子供が寝ているソリの上。サンタクロースの独り言。
サンタの服は呪いの服だ。着ている間は誰にも会えず、体は何も感じない。
トナカイのソリは呪いのソリだ。光の速さで空を飛び、飛んでいる間は真っ赤な鼻しか目に見えない。
364日は存在せず、1日だけは子供のために空を飛ぶ。
…ありがとう。次は君の番だよ。
そしてサンタは、自分の着ていた真っ赤な服を毛布代わりに子供にかけた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話