実話ですが 怖くありません
又 私自身 物書きや語り部などでも無いので
文章力や表現力もありませんが私自身が体験した不思議な体験を真実のまま書きます
私の実家は関西地方の遊郭地で数年前迄は
ひっそりと営業していた
街並みは古臭さと近代化が入り混じった
不思議な街並みだ
私はこの土地に産まれた頃から住んでいる
築年数80年の木造2階建
私の部屋は2階の西向きに面した6畳の部屋
その隣には同じく6畳の部屋が有り そこには弟の部屋があった。
部屋を出ると長い廊下が有り
左右には畳2畳程の部屋が10はあったと思う
今現在は家も新しく建て直し 昔の面影はない
この話は私が小学生の頃見た夢の話
ある日 一人で寝ていると夢の中に一人の女の人が居る
女の人は着物を着ており私に背を向けて
座っている
その時は怖さはなかった
怖さより女の人の匂いが印象に残った記憶が有る お香の様な匂い
それが印象的だった。
初めて夢を見てから暫くは夢を見ず 私は夢の事など忘れていた
そして私が小学校6年生になったある日
又 あの女の人の夢を見た
夢に出て来た女の人は以前の様に着物を着ており お香の匂いが微かにしていた
私は夢の中で この女の人に話掛けていた
ねぇ おばさん 何でここに居るん?
でも その女の人は黙って私に背を向け
座っていた でも前見た夢の時とひとつだけ違った所に気付いた
女の人の背中が小刻みに震えていた
私は幼な乍らに その女の人が泣いているのが分かった。
私は泣いている女の人に
「おばさん 大丈夫? ねぇ おばさん何で泣いてるん? おばさんどうしたん?」
声を掛けていた
今思えば子供乍らに おばさんの哀しみが伝わっていたと思う
そして おばさんの肩が小刻みに震え顔が私の方を振り向こうとした瞬間
私は何故か おばさんの顔を見たらアカン
このおばさん この世のものやない
そんな思いに駆られた
いゃや いゃや
その瞬間夢はさめた 起きた瞬間寝汗と恐怖で私は泣いていた
直ぐに弟の部屋に逃げ込み その日から2歳下の弟と寝起きを共にした。
その日からほぼ毎日 おばさんの夢を見た
おばさんがこちらを振り返ろうとすると
私が飛び起きる 私の悲鳴で弟が起きる
ほぼ毎日の日課と言っていい程 おばさんは
私の夢に現れた
でも その日は違った
夢で起きなかった 私は尿意で目が覚めた
外は静まり返っている
私の実家付近はこの頃 遊郭営業をしており
夜の12時位迄は 酔っ払いの声や通りを行き交う者の声が聞こえる
遊郭が静まり返るのは大抵 深夜2時前位だろう
私が起きた時 辺りは静まり返り私は真夜中だな?
そんな感じでトイレに向かった
私の実家のトイレは廊下を歩きドン付きの
右手にある
私はいつもの様に廊下を歩いた
ミシミシ歩く度に音がする
トイレに着き 電気を点ける
肌電球のオレンジっぽい色が辺りを照らす
私はトイレを終え弟が待つ部屋に向け歩き出した。
先程も説明したが私の実家は遊郭地にある
私の実家も私達が住む迄は遊郭営業をしていた この事実は後で知る事となるのだが
来た廊下を歩き出すと 又 ミシミシ ミシミシ
その時ふっと 左右に有る2畳位のひとつに
目が行った
小部屋に誰かが居る❓
その瞬間身体は動かない
目だけが動いた
俗に言う 立ったままの金縛り
その何かは段々とはっきり姿を現した
そこに居たのは夢に出てくる
女の人 おばさんやった
この時のおばさんは 後ろ姿ではなく
正面から私を見ていた
着物に顔面血まみれの女の人
叫びたくても 声は出ない
次の瞬間 おばさんは私が居る廊下迄
す〜っと移動して来た
そして私の顔を哀しそうに見ていた
私の思考回路は止まっていたと思う。
どれだけの時間が経ったか分からないが
私は母親に起こされた
顔面を叩かれ 何でこんな所で寝ているんや
ええ歳して ションベン垂れて
このアホが そう言って私は母親に着替えさせられ布団に連れて行かれた
後で聞いた所によると 弟も着物を着た女の人の夢を見て飛び起きたらしい
そして横で寝ているはずの私が居らず
1階で寝ている母親を起こしに行き私を発見したと言う事らしい
私は母親に泣いてあった事を説明した
今迄見た夢の話や 今日見た女の人の話を
泣きながら話した
でも母親は全て夢 やましい事が有る人間は
そうな夢を見る等 私の話に一切の聞き耳を持たなかった。
その日は結局弟と寝さされ
次の日の朝 集団登校の時私は弟に昨夜の出来事を話した
弟が見た夢は私が見た夢と殆ど同じであった
ただ弟は顔を見ていなかったらしい
でも次の日から私は夜が怖くなった
弟はその後 夢は見ず 私も夢を見ない様になった
でも トイレは下のトイレで用を足す様にした
そして廊下に沿って有る 小部屋には絶対行かない様にした。
でもあの小部屋の存在に疑問が沸き私は母親に何であの様な小部屋が有るのか?尋ねた
母親はそんなん知らんとか子供は知らんでええとか
最後はひっこく食い下がる私にゲンコツを
おみまいし話を遮った
今思えばあの廊下左右にあった小部屋は
俗に言う ちょんの間で
あの小部屋で女の人が買われていたらしい
見ず知らずの男と女が交わる場所
その様な建物が私の実家でした
男には快楽の場所であっても女の人には哀しみ場所だったのでしょう。
そうのこうのしている内に私の実家が建て直す事になった
私や弟は歓喜し私が中学校一年生の時
家は完成した
昔の面影は無く私も弟も歓喜した
そして引越しが終わり初めて自分の部屋で寝ていた時に私は見てしまった
何の前触れもなく、あの女の人は現れた
何も言わず哀しそうな顔で私を眺めふっと
消え去った
身体はブルブル震えたが何故か以前の様な
怖さはなかった
女の人は顔を見せずに消えた
私はこの事を誰にも言わず錯覚と言う事で
自分の中で無理矢理処理をした
そしてあれから20数年の歳月が過ぎ
私はすっかりあの女の人やあの夢の事は忘れていた
ある日 私は実家の工場で仕事をしていた
そこに すいませんと言う声がした
私は仕事の手を止め 表に出てみると
3人の人が立っていた
私が用件を尋ねるとどうやら 遊郭の組合の場所を探しているらしい
年の頃20代の男性に60代の女性
そして70代後半かとおぼしき女性の3人
が何やら地図を持って辺りをキョロキョロしている
私は仕事の一服がてら 組合の場所を告げ男性と世間話をした
男性が言うところによると
60代のおばさんの又おばさんにあたる人を探しているらしい
そして私はその男性からふっと一枚の地図を見せられ こう言われた
この⚪️印の所ってこの辺りですかね?
地図を見ると昭和30年代の住宅地図の様なもので 私には⚪️印の場所が何処か分からなかった
だが その地図に描かれた川の位置や組合とおぼしき建物から⚪️印はこの近辺だと言う事は私にも分かった
私は男性におばさんのおばさんって
今現在お幾つくらいの方なのか?聞いてみた
すると今生きていれば90歳位だと言う
私はもう少し入りこんで話を聞いた
男性が言うには おばさんのおばさんは
元々関東地方の方で 極貧の為私が住む遊郭に売り飛ばされた事
そしてこの遊郭で亡くなられた事
亡くなられた死因が変死で毒殺である事
当時死体を解剖した書類だの色々な書類を見せられ話を伺った
その女の人は昔この遊郭で一番の売れっ子にまで登り詰めたらしい
そしてそれを妬んだ古参の芸子に毒を盛られ絶命したらしい
私はその時嫌な予感がした
そして幼い頃に見た夢や女の人を思い出した
もしかしたら あの女の人
このおばさんのおばさん違うんか?
私は3人を連れて組合に行った
組合長は幼少の頃から知っている人なので
今までの話を話した
組合長は嫌々ながら昔の住宅地図やら
昔在籍した女性の源氏名が書かれた資料やら
を出してくれた
でもその中におばさんのおばさんの名前はなかった
するとおばさんは私と組合長に一通の古びた手紙を見せてくれた
内容はイマイチ分からなかったが 最後に
借りているお金を一日でも早く返し故郷に
帰りますとの事が書かれていた
そして差し出し人住所の所にはこの界隈の住所が書かれていた
しかし私が記憶するに この辺りにこんな住所はない
そうこうしていると、組合長が昔の住宅地図「手書きの地図」を広げ調べだした
私はこの時 このおばさんのおばさんが亡くなられた場所が何処か感じていた
そして組合長が調べてくれた結果差し出し人住所は予感通り私の実家でした
私は頭がおかしいと思われるのも承知で
あの夢の話しや体験した出来事を皆の前で話した
出来るだけ細かく話そうとしたが
記憶は朧げで上手く話ことは出来なかったが
話の途中おばさんはポロポロと涙を流し
その夢の人はきっと 私のおばです
貴方にはさぞかし怖い思いをさせましたね
おばはきっと無念の念で亡くなり
誰かに思いを伝えたかったのでしょう
何の関係も無い貴方に本当にすいません
と
そして最後に私に一枚の写真を見せて下さいました
それは女性一人が写る写真
そこには私が見た夢の女の人が笑って
写っていました
私が見た夢 そして女の人の霊
今回の事できっと成仏された事と思います
最後にこの女性を関東から買って働かせた
人こそ
そう 私の亡くなった祖父でした
作者nao-3
哀しい実話です