これは私が小学校低学年頃に体験したお話です。
私は小さい頃、転勤族でした。
父と母、兄と私の四人家族です。
私と兄は、‘‘見える’’人間です。
この話は、父の転勤先の東北地方の某県でのお話です。
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その日、私は母と町の公園に遊びに来ていました。
母が公園のベンチに座り、私は自由に遊んでいました。
最初は公園に私と母の二人しか居ないと思ってたんですが、
いつの間にか視界の端に30歳前半くらいの女性がいることに気付きました。
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焦点の合わない目で私を見ていたように思います。
今じゃ人見知りな私ですが、あの頃は誰にでも話しかけていたので、
当然のようにその女性にも話しかけにいきました。
「ねえねえ、おばちゃん何しとるん?」
「………。」
その女性は一言も発さずに私を無表情で見つめていました。
子供ながらにさすがに恐怖を感じ、母のところに戻ろうと踵を返すと、
突然その女性が私の手首を掴みました。
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ギリギリ、と強い力で握りしめてきます。
振り返りたいのですが、怖くて振り返ることも出来ずに、
声にならない声で母を呼び続けました。
次第に爪が食い込み、手首に切り傷が出来てしまい、血が滲んできます。
痛みと恐怖で頭が真っ白になりました。
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「○○ちゃん?」
母が私の名前を呼んだと同時に、手首が離され、体が自由になりました。
恐怖に泣き喚き、母に必死でしがみつきながら、
ゆっくり後ろを振り返ると、もう誰も居ませんでした。
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あとから母に聞いた話ですが、
ベンチから私を見ていたら、突然狂ったように笑い出し、一人で誰もいない空間に話し掛けて、
それからいきなり泣き喚いたので、どうしたのかと思い、声を掛けたそうです。
10年近く経った今でも、あのときの○○は狂気じみてた、と母に言われます。
確かにいきなり狂ったように笑って一人で話して、突然泣き喚いてたのですから、仕方ないと思います。
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そんなことがあった日の夜、家に帰ると兄が顔を顰めて、私をすごく毛嫌いしてました。
今思うと、もしかしたらあの女性が憑いていたのかもしれません。
兄は、あのことがあってすぐに事故で亡くなりました。
私は、あの女性が兄を気に入り、連れていったんだ、と今でも思ってます。
作者3939_ancafe0105
読んで頂きありがとうございます。
初めての投稿のため、読みにくかったかもしれません。
そのあとにも何度もいろんな体験をしたので、
またいつか書けたらいいなと思っております。