半年程サウナで働いていた時期がありました。サウナは死亡事故がかなり多いです。
月1くらいで遭遇します。自分が働いてたサウナは当時は家が無い日雇い労働者と
怖い人と、帰れなくなったリーマンが主な客層でした。死ぬのは酔った日雇いばかりなので
死人が出る度に「身元不明」の無縁仏として警察が引き取りに来てました。
サウナは常連が多いのですがロクな客がいないので、客が死んでも「仕事増やすんじゃネーヨ」
程度のリアクションだったのですが今でも強烈に頭に残ってる事故が一つあります。
私がバイトとして働き始めて少しした頃、ちょっと雰囲気が違う客が居る事に気付きました。
そのオヤジは色白で50歳前後で身長およそ150cm、体はガリガリで歯槽膿漏臭がプンプンしていて、
小脇にはボロボロのホモ雑誌を所持というなんとも不思議な生き物で、逮捕されても絶対に文句を言えない完璧ないでたちでした。そいつはチョコチョコと店内を小走りしながら動き回って、仮眠してる客のタバコを盗むという
変なクセの持ち主でした。しばらく動き回って自分のソファーに戻っては
盗んだタバコを吸うといった繰り返しなので、そいつの前の灰皿は
メンソールからテンダーまで色んな吸殻が入っていました。中には気付いてる常連もいて、タバコに
七味を仕込まれて死にそうになってる時もありました。
そのオッサンの顔がまた酷く恐ろしい顔で、顔は小さく、目は物凄く大きくつり上っていテクノカットでサラサラヘアーで頂上ハゲという「スポック船長」と「カッパ」を足して2で割ったような顔なのです。
「妖怪大百科102ページ」というニックネームを持ったそいつはかなり他の常連から嫌われていました。
ある日、いつも通りの時間に来店して相変わらず人のタバコをくすねていたそいつが
風呂に向かいました。私が風呂場に見回りの為に入り、少しして私が風呂場から出てきた時に
ちょうどすれ違いました。その時にふとそいつを見ると、なにかがお尻に付いていました。
「こいつウンコ漏らしたのか?」と一瞬思ったのですが、匂いもないので「まぁいいか」と思って
私はそのまま仕事に戻りました。
そして15分後に新人の同僚が見回りに行った時に事件は起きました。
しばらくすると、ひどく慌てた新人が「スチームサウナの中で、人が!人が!」
と言いながらフロントにいる私の方に走ってきました。「どうしたの?」と言うと
「風呂場に来て下さい!」とすごい形相で言うので行ってみると、なんと、あの「妖怪大百科…」
がケツから50cm以上も腸を出してサウナの中の出入り口付近に血だらけで倒れていたのです!
巻き上げられるスチームに血が混ざりサウナの中は真っ赤になっていました。
とてもドアを開けられる状態ではありません。そして私はその時フと思いました
「さっき見えていたのはウンコじゃなかった!」「あれはコイツの腸だったのだ!」
「あの時気付いて退場させてればこんな事にはならなかったかも知れない…俺のせいで…」
しかし「ド肝を抜かれる」とはまさにこの事です。10畳程度の広さでガラス張りのサウナの中は
血の霧で視界は1m程しかなく、まさに地獄絵図…
スグに警察を呼んで、10分くらいで捜査員が来ましたがドアの前に倒れてるので
体が邪魔してなかなか開きません。スチームを止める操作盤は中に入って
奥のドアのさらに向こうにあるというマヌケな施設だったので止められません。
腸がデロ〜ンと出た血だらけの妖怪の屍が50℃の真っ赤なスチームで
延々と2時間近く蒸されている絵というのは、何度か死亡事故に遭遇して慣れていた私にも
強烈なインパクトを植え付けました。いまでもテクノカットを見るとあの惨劇を思い出します…
その後、警察と従業員とで「どういった状況で死んだのか」という事を色々と想像ししたのですが、
入浴後15分でこのような状況に至った経緯が全く掴めませんでした。
1週間後に警察からきた報告書には「死因は不明」「身元も不明」「「生態も不明(ウソ)」とだけ
書いてあり、結局何一つ理解出来ないままでした。「昔、この周辺にはカッパが住んでいて
、そいつの呪いだ」とかみんな好き勝手な事を言ってましたが、
妖怪の屍1体とサウナの補修費用として1千万円(不良債権)と
目撃した人間に強烈なインパクトを残してそいつは去っていきました…
その後「お線香」とお供え物として「きゅうり」と「タバコ各種」を現場に1週間程置いて
おきました。お払いを済ませた後にそのサウナは壊されました。
サウナはまさに現代のオカルトです。皆さんも是非行って見て下さい
サウナという施設を知らずして現代のオカルトは語れません。
但しサウナは「ホモ専用」とかが少なくないので
それだけは気をつけて下さい。
フロントに「ここはホモ専用?」と慣れた口調で聞けば教えてくれます。
サウナのロッカーの鍵こそが新しい世界の扉を開ける鍵なのです…(多分)
終わり
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話