短編2
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結核病棟

『医師の鏡』を読み、

優しい気持になった

自分も人の心を優しくできる話がしたいと

浅はかに思ったが

病院柄みで知ってる話は

残念な物しかなかった

その1つ

結核病棟

病棟自体は何十年も前に閉鎖され、それから何年も廃屋のまま放置され

格好の心霊スポットになっていたという

花火で有名な湖のある地域へいくルートの1つ

S尻峠と呼ばれる国道を一頻りを登り、下るころ結核病棟はあった

今でこそカーブは余り無くなり通りやすい国道になったが、昔は国道か?と疑う程、道はウネリ薄暗かった

現在は道路整備時に解体され他の建物が建ち、病棟が無いのが惜しい

国道には旧国道の面影(閉鎖された道)が所々にあり結核病棟は旧国道の近くにあった為、見付けやすかったという

結核病棟は『六角棟』や『八角棟』とも呼ばれ、建物は通り名の如く珍しい形をしていた

結核病棟の怖い話は様々

その中の印象に残った話

肝試しに来た男女数人

いざ建物を前にすると迫力があり怖じ気付く

『帰ろうよ』

という言葉が女の子から出たが、女の子がいる手前、男性陣は引きたくなかった

窓ガラスは割れ、簡単に入れそうだったので立入禁止になっていたが中に入る

流石に暗く、懐中電灯をつけ病棟探検(準備が良い)

中は思ったほど荒んでいなく、つまらなかった

程なく一階は見終り

二階を見てみようと言うと

『ゲホッゲホッ…』

『…苦し……ゲホッ…』

女の子の一人が咳き込んでいた

悪ふざけはやめろよと、笑いながら注意される

『…ゲホッ…ゲッ……』

女の子はいきなり吐いた

一同騒然

どうしたか聞くと

『病院に入って暫くして胸と喉が苦しくなって、咳き込まずにはいられなくて…

二階に行こうって話してる時、階段見上げたら急に気持悪くなっちゃって…』

肝試しは中止し、外へ出た

夜の空気は冷たく、全員の気持を少し落ち着かせた

せめて…と一人の男が

病棟の記念撮影をした

一緒にきた人達をフレームに入れて

後日

出来上がった写真には

バッチリ写っていた

ガラスの無かった病棟の窓には、窓がはまったようにカメラのフラッシュが反射し

吐いた女の子の顔は酷く青ざめ、まるでゾンビみたいな顔だったという

そして

一番おかしかったのは

写真を撮った男が

何故か写真に写り込んでいた

場所は病棟二階の窓に

くっきりと

後日、病棟内で吐いた子は

数日体調不良で連絡は取れなかったが、元気に再会できたそうだ

ただ

写真を撮った男は

数日後S尻峠走行中、病棟近くのカーブで曲がり損ねて

死んでしまったとか

心霊写真が何を物語っていたのか…気になります

以上、後味悪い話で申し訳ないです

しかも全て聞いた話で現場も無し…

是非現場を確かめたかった

怖い話投稿:ホラーテラー 京介さん  

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