これは、俺が小学校6年生のころの話しだ。
ある日、友達の家で遊んでた俺は、気づけば時刻が11時前だということに気づいた。(友達の両親も俺の両親も時間にはうるさくなかった)
帰りが遅くなった俺は、その友達に自転車を貸してもらうことにした。自転車は母親が昔使ってたものらしい。でも、その自転車は思春期の俺には少し恥ずかしかった。
どうみたって主婦っぽいママチャリだし、二人乗り用でダサかったんだよ。
だから俺は、夜中でも明るい大通りではなく、暗くて大きい坂道がある道から帰ることにした。
そんな暗い道を走っていた俺だが、別に怖いという気持ちも出来事もなかった。頭の中は早く帰って夕飯食べたいということだけだったし、心霊のテレビ番組なんかのように、自転車のライトが消えるとかいうハプニングもなかった。
そうやって、その日は家に帰れると思った。
しかし、家の近くの下り坂を前にして、俺は見てしまった。
坂道の道ぞいにあるお墓たち。(沖縄は道にお墓がある)
その墓の前を、マラソンしている不気味な人影を。
何が不気味なのかというと、その人は走り方がおかしかった。首を前後左右にぐるんぐるん回し、両手をあげながら走っている。
俺はサーっと全身が総毛立つのを感じた。危ないやつに会っちまったって思ったんだ。
でも、今から下り坂だし、何とか家までとばそう、と俺はその怪しい人物の横をすり抜けた。
よし、下り坂に入ったぞ!
と、安心した俺は冷や汗を拭った。だが、すぐにまた冷や汗をながすことになる。
下り坂なのに、スピードが全く上がらなかったのだ。何故だかわからないが、次は大きな登り坂が待ってるしマズいと思った。
結局スピードが上がらないまま、俺は登り坂に突入した。坂の一番上が俺の家だった。
だから、なんとしても坂をのぼりきろうとやけになった。
しかし、ここでまた異変を感じた。今度は、登り坂のわりにはスピードが出たのだ。強くペダルをこいでるわけでもないのに、スイスイと登れた。
助かった!と俺は一気に坂を登りきり、家に飛び込んだ。
そして、今の出来事を姉に話した。誰かに話さなきゃ、怖かったんだ。
すると、俺の話を聞いた姉がこう言った。
「ねぇ、それってさぁ…
下り坂のときはその人が後ろに乗ってて、登り坂では後ろから押してたんじゃない?」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話