私はいくつかwebサイトを運営した経歴があり、その中でもこのサイトのような「オカルト物」を扱った事がある。
この「オカルト物」のジャンルは比較的人気があり、掲示板との兼ね合いの良さから、一年半前にHPを作った。
良くも悪くもそれなりのデザイン構成だった為に来場者も日に数百hitだったが、興味本位で立てたHPの割に満足していた、そんな時だった。
「問い合わせページ」から何気ないメールが送られてきた。そのメールは素っ気ない一文だった。
「○○日△△時投稿の〜〜という記事を消せ。」
その記事のタイトルはこうだった。
「近所におかしい人がいる」
内容はこう。「いつもホームレスが私を見ている。行きも帰りも私を見ている。〜中略〜何かされそうで怖い」
いかにそのホームレスが気持ち悪いかが数百行に渡り書かれ、締めは上記のように怖いとだけ書かれた文で終わっている。
ただの悪戯だと無視をしていた。いちいちこういったメールの相手をしていたら運営は務まらないのだから。
翌日また、例のメール主からメールがあった。
「消せ、
早く
消せ
消せ
消せ
消せ
:
:
〜以下数百行続く〜
:
:
もういや」
私は薄気味悪さを感じた。なんだこれは。このようなメールがずっと続くのか。
そんな危惧が頭をよぎったが、事の顛末は呆気ないものだった。三日後以降はメールが届かなかったのだから。
私は心底ホッとしたと同時にただの嫌がらせメールに反応してしまった未熟さに反省した。
後日、私はふとTVのニュースを見た。そこには、あの悪戯メールの第一報が届いた数時間前にホームレスが何者かに数十箇所に渡り切り刻まれ、死体をごみ箱に放置したと思われる犯人のOL(名前は伏せる)が写っていた。その女性は「日頃からホームレスからストーカー被害を受けていた」と供述したそうだが、身内や近所の方からそのホームレスは、いつも笑顔で困った人を助け、時には相談に乗ってくれる「ニコニコおじさん」として親しまれていた。
事の真相は誰にも分からない。だが、現実は小説より奇なりともいう。もし、このメールが…?
そんなifが常に私を悩ませている。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話