マーフィー夫妻は夜間に外出するため、3人の子供の面倒を見てもらうためにまだ10代の年若いベビーシッターを呼んだ。
夫妻はベビーシッターに「多分自分たちは夜中まで帰らないし、子供達ももう寝てしまっているから起こさないように」と言い置いて外出した。
ベビーシッターは学校の宿題をしながら彼女のボーイフレンドからの電話を待っていた。
少しした頃、家の電話が鳴った。
電話に出たが何も言って来ない。無音の後、電話は切れた。
その数分後、また電話が鳴った。
彼女が電話に出ると、今度はぞっとするような冷ややかな男の声が聞こえてきた。
「子供達の様子を見たかい?」
また電話は切れた。
最初彼女は、父親が子供達の様子を聞くために電話をしている途中で何かに邪魔をされて電話が切れたのだと思った。
なので彼女はこの変な電話は気にしないことにして、宿題にまたとりかかった。
だがまた電話が鳴った。
「子供達の様子を見たかい?」
身の毛もよだつような声だった。
「マーフィさんですか?」
彼女は尋ねたが、また電話は切られた。
彼女はマーフィー夫妻が食事すると言っていたレストランへ電話をすることにした。
レストランへ電話をしたところ、マーフィー夫妻はすでに45分も前にレストランを出ていると言われた。
仕方がないので彼女は警察へ電話をし、変な人が電話をしてきてはすぐに電話を切るのだと伝えた。
「彼に脅されたんですか?」
電話に出た担当官はそう彼女に尋ねた。
脅されているわけではないので「いいえ」と彼女は答えた。
「では私達には何もできません。いたずら電話として電話会社に報告してはどうでしょう?」
その数分後、また電話が鳴り、男の声が言った。
「何で子供達の様子を確認しないの?」
「あなたは誰?!」
彼女は問うたが、男はまた電話を切った。
彼女は警察へ再度連絡をした。
「怖い!誰かが外にいる!私を見張ってるんです!!」
「その男を見ましたか?」
担当官はそう言った。彼女はいいえとしか答えられなかった。
「それではこちらでは何もできませんよ」
その返答にベビーシッターはパニックに陥り、お願いだから助けてくれと担当官へ懇願した。
「まぁまぁ落ち着いて。大丈夫ですよ。あなたの電話番号と住所を教えて下さい。その男から電話がかかってきたら1分は通話したままにしておいて下さい。そうしたらその電話をこちらでトレースしてみます。あなたのお名前は何でしたっけ?」
「リンダです」
「オーケー、リンダ。男からの電話があったら我々はその電話をトレースできるように最善を尽くします。落ち着いて、いいですね?」
「わかりました」
そう答えてリンダは電話を切った。
リンダは外に誰かがいるのを確認できるように家の明かりを消した。
その時、電話が鳴った。
「僕だよ」
親しげな口調で電話の向こうの男は言った。
「何故電気を消したんだい?」
「私が見えるの?」
リンダはパニックになりながら言った。
「・・・ああ」
男は長い無言の後、そう言った。
「ねぇ・・・こんな風に私を怖がらせて何が楽しいの?これがあなたがしたいことなの?」
「いいや」
「じゃあ何がしたいのよ?!」
リンダは尋ねた。
長い無言の後、男が言った。
「君の血が欲しい。僕の全身に」
リンダはぞっとして電話を叩き切った。と同時にまた電話が鳴った。
「ほっといてよ!!」
彼女は悲鳴を上げた。だがその電話は警察の担当官からのものだった。
担当官の声は緊迫していた。
「リンダ、電話をトレースした。あの電話はその家の別の部屋からのものだ。いますぐ家を出るんだ!!早く!!」
リンダは鍵を開けて外へ出ようと、慌てて玄関ドアへ向かった。
だがチェーンロックがかかったままだった。
チェーンを外している間、二階の階段の先にある部屋のドアが開いているのが見えた。明かりが子供部屋から漏れ出、部屋のすぐ内側に立っている男の姿を浮かび上がらせていた。
何とかドアを開け、リンダは外へ転がり出た。
外玄関に銃を引き抜いた警察が立っていた。
彼女の命は助かった。
だが警察が侵入者を捕らえ、手錠をかけたその男を階下へひきずってきた時、リンダは血に塗れた男の姿を見た。
つまり、3人の子供達はすでに殺されていたのだ。
作者NEKOTENI
About.comのUrban Legendより(http://urbanlegends.about.com/od/horrors/a/The-Babysitter-And-The-Man-Upstairs.htm)
アメリカでは10代の子がアルバイトとしてベビーシッターをやるのはよくある話のようです。
寝てるから起こすなという依頼者夫婦の言葉が結果としてベビーシッターの命を救ったわけですが、「Have you checked the children?(子供達の様子を見た?)」っていう電話がかかってきたら私だったら見に行っちゃいますね・・・。
この話は1960年代からある古い話のようです。