shake
wallpaper:147
その日、女性は終電より2本前の特急電車に乗って帰宅していた。
あと3つで最寄り駅に到着する頃、途中の駅で一人の男が乗ってきた。
その男は電車のドアが閉まると、突然まわりをキョロキョロし始めた。
男が座っている女性のそばによってきて、
「すみません。あなたは31歳ですか?」
と言った。
「いえ、なんですか急に?」
女性が(27歳なのに…)と思いながら聞き返すと、男は何も言わずにただ渋い顔をして、また別の人に話しかけた。
「あなたの年齢は47歳ですか?」
「どうして知ってるんですか?」
「あなたは64歳ですね?」
「なんでわかったんだ?」
男は乗客の年齢をどんどん当てていく。
どうやらその男には、人の年齢を当てる特別な能力が備わっているようだった。
次の停車駅までは、まだ10分以上ある。
男は同じ車両に乗っている乗客全員に声をかけていた。
まわりは皆不思議そうな顔をして男を見ていた。
「あなたは50歳ですね?」
「そう。だけどあと5分で日付が変わったら、51歳になるの」
最後に質問された愛想のいいおばさんが、笑いながらそう答えた。
しかし、その男は決して笑わなかった。
そのおばさんの答えを聞いた途端に真っ青な顔をしたのだ。
女性は不思議に思い、
「すごいですね! どうしてわかるんですか? 私の年齢だけ違いましたが(笑)でもほとんど百発百中ですよ」
と男に話しかけた。
すると、男は青い顔を女性に向けてこう言った。
「私が見えているのはあなた方の年齢ではありません。あなた方の寿命です。」
作者rikutoto6382