これは、都内の某居酒屋でアルバイトしていたA子さん(仮名)の体験をもとに作成しました。
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あ、先輩その顔どうしたんですか?
先輩の目の上には、大きなこぶと、右ほほには大きな擦りキズができている
あ、Aちゃん、ちょっとバイクでやっちゃってさ^^。
気を付けてくださいよ。先輩むちゃしすぎですよ。
はは、気をつけるよ^^。
でもさ…ちょっと妙なことがあったんだよね。
先輩が柄にもなく神妙な顔で話し始めた。
先輩は、地方出身で、進学とともに上京し、現在はアパートで独り暮らしをしているそうなのだがその日も、いつものように学校に出かけるため、朝の身支度をしに鏡の前に立った時に、妙な違和感にとりつかれたという。
うーん、今思えば「むしの知らせ」っていうのかな?
顔の右半分が暗いような、にじむような感じがしたのだという。
私はちょっとゾッとしたのだが
先輩、気のせいじゃないですか?
怖がりだと思われるのも嫌なので勤めてふつうに振る舞った。
そうだよな、そんなことあるわけないよね^^
先輩はすぐ、いつものテンションに戻っていた。
その日は店が特に忙しく、そのままそのことに触れることなく一日を終えたのですが…。
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数日後、先輩が、
ねね、Aちゃん見てよこの写真。
先輩が私に一枚の写真を見せてくれた。
その写真は洗面所の写真の様だった。
え?この写真何なんですか?
映ってないでしょ?
は?
だから映ってないでしょ?
え?なにがですか?
あーもう…わからないかな…ほら、よく見てごらんよ
鏡、鏡だよ!
撮影してる人間もカメラも映ってないでしょ。
あ・・・
確かに不思議だ、その写真の洗面所らしき部屋の大きな嵌めこみ式の鏡には部屋の様子はうつっているが、撮影者やカメラらしきものは映りこんでいない。
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先輩、これどうやって取ったんですか?
どうやってって、普通に鏡の前で撮ったよ。
え??
だから、普通に取ったんだけど…。
先輩、からかわないでくださいよ!
普通に取ったら映っちゃうじゃないですか?先輩がw。
それが、うつってないから不思議だっていってんじゃないか^^。
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先輩が言うにはその日、サークルの5、6人仲間と部屋で飲み会をしていたらしいのだが、
後輩の一人が、洗面所に行った時、鏡の異変に気がついたのだという。
あの、先輩、洗面所の鏡なんですけど、あれちょっとおかしくないですか?
え?何か見たの?
先日のことがあったのでまた妙なものでも見えたのかと思いそう尋ねた。
いや、何か見たもなにも、何も映らないんですよ。
は?
先輩も最初は意味がわからなかったのだが、皆で洗面所にいってみたのだという。
そこには、鏡があり洗面所が映っているのだが、人物が鏡に映っていない。
すると不意に、その中の一人が携帯をとりだし、写真を撮り始めた。
皆、次々に携帯を取り出し写真を取り出したのだという。
その時は、怖いどうこうっていうか、人数もいたし不思議っていか珍しいって感じでさ…
しばらく、その写真のネタで盛り上がったのだが、かなり飲酒していたこともあり
その日はみなねむってしまったのだという。
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Aちゃん。この写真って何だと思う?
え?そんなこと聞かれても全然わかりませんよ。
私は写真の中の鏡に奇妙な違和感を覚えた。
あ、先輩。ここになんか映ってますよ。
よく目を凝らして見ると、鏡の隅の方にリビングの姿見の鏡が映りこんでおり
その中に小さく写りこんでいるものを私は見つけた。
え?どれどれ。
先輩も同じく注視する。
あ・・・これ、カレンダーじゃないかな。
でもこれ、うちのカレンダーじゃないな…。
え?
先輩の家のカレンダーは、月ごとに全国の名所の映ったカレンダーで月ごとにめくっていくタイプのものだそうだが、
その時写りこんでいたカレンダーは日めくり式のカレンダーの様だった。
さらに目を凝らして見ると日付が読み取れる
【平成30年4月11日】
未来の日付?私はその瞬間、背筋に冷たい物が走ったのだが、先輩は
あっけらかんとして、
「あー、こんな先じゃ、俺はきっとあの部屋に住んでいないから映らなかったってことだな^^」
とかいって、なんか変に納得したようであったが、しかし私は別のことを考えていた。
その時先輩には言えなかったが…
あの鏡は、先日の一件から先輩に関係のある未来を映す鏡ではないかと思う。
ということはその先輩が映っていないという意味は、
先輩が言ったように、確かに先輩が引っ越しなどでその家にもう住んでいないという場合も考えられるだろうが、
もしかしたら先輩が存在しないということも考えられるのではないだろうか?
さらに、先輩のサークル仲間も誰も映っていないということはその人たちも存在しないという状況ではないのだろうか…?。
【平成30年4月11日】
私は、この日に何かよくないことが起こるのではないかと今も不安を抱えている。
作者GEN HIRATA
2話目の投稿です。
1話目に、コメントくれた方うれしかったです。ありがとう。この場を借りてお礼いたします。
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