私はある宗教に入っていた。といっても宗教と言っていいのか微妙な集まりだったが。
教祖はとても若い方で、マカロニ教という。
最初聞いた時は完全にふざけてると思ったが、話を聞くうちに吸い込まれるように入門していた。
なんでも教祖のおふくろさんが亡くなられる前にマカロニサラダを作ってくださったらしい。
しかし、教祖は当時職を失い実家に帰省していていらだっていた。
親にも反抗的な態度をとってしまい、その日マカロニサラダを食べずに外食したのだという。
それが亡くなられる前の最後のマカロニサラダだと知らずにだ。
それを大変無念に思い、このマカロニ教を立ち上げたのだと言う。
一言で言ってしまえば親を大切にしようという儒教をやわらかくして名前を変えただけのような物だったが、
名前が面白く世間に受けたためにSNSなどで広がっていったらしい。
まぁ、それは一時だけの流行ですぐに廃れた。
驚いたのは、何年か経ってから同じ名前の宗教団体が出てきたことだ。
元の教祖はいまだに連絡を取り合う仲なので聞いてみたがどうやら無関係らしい。
ある掲示板で噂を調べた程度なのだが、かなり病的な活動をしてるそうだ。
入門者は全裸になり寝そべって、へそにマカロニを添えるのだと言う。
どうせいかがわしい行為をするための口実なのだろうが、それを信じる人がいるのが驚きだ。
どうせ長くは続かないだろう・・・
その後、事件に発展した。マカロニ神への生贄と称して信者の一人を殺し、
その腹の中に臓物のかわりにマカロニを詰め込み信者達で群がり食べていたそうだ。
そこで主要なメンバーが捕まり組織は解散。カルト教団として全国に報道されることになる。
本当に怖いのはその宗教の起源を知らずに名前だけが一人歩きし、教祖の私欲のため教えは曲げられ、
その居もしないマカロニ神に生贄までささげてしまう人間が居るということだ。
そんなバカな話があるかと思うだろうが、今現存する宗教だって起源からは多少なりずれているはずだ。
魔女狩りだとか、その時代で教えを説く者の都合も多分に含まれている場合もある。
妄信するなかれ。
作者gora1599-2