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その日僕は部活の練習が少し長引き、17時くらいに帰宅することになった。
いつもの帰り道を通って家に向かっていたら、後ろからハァ...ハァ...という荒い息遣いが聞こえてきた。
ぎょっとして後ろを振り返ったら、真っ赤なコートを着て、ハァハァ言いながら涎を口の両端から垂らしながらニヤニヤ笑っている女がいた。
僕が唖然としていると「ケンちゃん、家に帰るよ」と言いながら、僕の腕を掴んできた。
女の爪の間は真っ黒で、コートからは洗っていないのか、汗臭い、埃っぽい臭いがしていた。
我に返った僕は、「僕はケンちゃんじゃない!恭介だ!」と叫びながら、思いっきり腕を引いた。
その瞬間――――――
「ケンをどこにやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?お前は誰だ!!?」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」と叫びながらどこから取り出したのか血走った目でナイフを振り回し始めた。急いで家に逃げ帰った。
女は後ろで何か叫んでいた。
家に帰って警察に連絡して、窓のシャッターを閉め安心感のあまりへたりこんでいると、
バン!バン!バン!バン!バン!
とドアを殴りつける音が聞こえた。
ケンちゃんを返せ、殺すという声も聞こえてきた。怖さのあまり縮こまっていると、パトカーが到着した。女の叫び声と警官の怒号が聞こえた。
○
次の日、その女の親が菓子折りを持ってやってきた。
女の親が言うには、女にはケンタという息子さんがいたそうだ。
去年の夏に交通事故で亡くなり、それ以来女は気が違ってしまったらしく、こんなことをしてしまったらしい。
部屋に引きこもっていたが、昨日突然ケンちゃんを探してきますという置手紙を残して家からいなくなり、今日の事件を起こしたそうだ。
ちなみに、女が着ていた赤いコートは誕生日に息子がくれた物だそうだ。
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作者拓哉-2
正直言って駄作ですが、批評をして頂ければ幸いです。