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中編6
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ミステリーロード

music:1

初めまして。ユダと申します。今まで私は体質上、数え切れないほどの心霊体験をして参りました。今日はその中の1つをお話したいと思います。

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music:2

暑苦しい日が続く8月。18歳になった僕は当時念願だった自動車の免許を取得した。僕の地元は栃木県のド田舎で車がなければ退屈を凌ぐのも厳しい環境だった。仲の良い友人達の中で僕が一番最初に免許をした事もあり毎日のように友人達から

「ドライブ連れていけよ〜」

の電話が絶えなかった。僕は''車を運転している”という事で大人になれた気がして少し誇らしげに感じていた事もあり心良く友人の誘いにのっていた。

そんなある日1人の友人から

「気になる道があるんだが行ってみないか?」

という誘いがあった。

僕らが住む田舎には、舗装もされておらず、何処に繋がっているのかもよく分からない荒れ放題の獣道の様な道が多数存在しているのだ。

確かに気にはなったがそんな道をマイカーで走る勇気はなかった。だが

「じいちゃんの軽トラ貸すからさ」

と友人は言う。

人様の車でその様な獣道に突っ込む事に罪悪感を感じながらも友人の勢いに負け渋々承諾した。いや僕自身、そんなアホみたいな事をするのが楽しかったのかもしれない。

そして深夜1時、友人の家に僕は来た。

友人は長靴に作業着、軍手を装着し準備万端の様子。非常にはりきっている。

さらに自慢気に軽トラのカギをこちらに向けニコニコしている。

「さあ、いこう」

友人はそう言い放つと足早に軽トラの助手席に乗り込んだ。

僕が運転し友人が道案内をして目的の獣道への入り口に到着した。思ったより道幅が狭く、左右から草木が進入を拒むかの如く生い茂っており、地面は枯葉で覆われ、ちょっとしたハンドル操作のミスが事故につながりそうだった。間違いなく車で走ってはいけないレベルだと運転初心者ながらに確信した。

「これマジで行くの?」

と友人に問いかけると

「ここで引き下がったら男じゃねぇ」

と意味不明な言い様。続けて

「俺は今日からこの街のミステリーロードを探検していくんだからな」

と意気揚々に話している。

「ミステリー…ロード…か…。」

その言葉に僕の中の好奇心が猛烈に揺さぶられ気づけばアクセルを踏み進み出していた。

軽トラのフロントガラスに左右から伸びた草木が激しい音を立ててぶつかる。気づけばかなり山奥に来てしまったようだ。街灯なんて物はなくヘッドライトを頼りに進んでいくと広々とした空間が忽然と現れた。

「なんだここ?」

友人はそう言いながら窓から身を乗り出し辺りを確認している。僕も運転席側の窓から外を確認すると奇妙な物を見つけた。

それは腐った細長い木の棒で、それが地面に刺さっている。よく見ると縦に文字が書いてあることが確認できる。車のエンジンを止め2人は車から降りてその木の棒に書かれた文字を懐中電灯で確認した。

”この先 猪◯△○武家跡地”

木が腐っていて全てを読み取ることはできないがそこにはそう書かれていた。

「武家?ってこはお侍さんの家だったとか?」

草木で覆われていて気づかなかったが、よく見ると”この先 猪○△○武家跡地”と書かれた木の看板の横に車では通れないさらに細い道がある。かなり不気味だか、これはもう行くしかないという雰囲気だ。

「行く前に約束してほしい」

友人が、真剣な声でいった。

「一つ、何を見ても何を聞いても家に帰るまでは何も言うな。

二つ、何があっても絶対に1人で走り出さない。

三つ、会話を止めない。以上‼︎」

僕は悟った、友人は完全にビビっている。

だがビビるのも無理はない。異様な湿気と異常なほど濃い霧、夏なのにもかかわらずヒンヤリと冷えきった空気。唾を飲む音さえ聞こえてきそうな程静まり返ったこの場はまるで異世界に迷い込んだかのように思える。

友人の三原則を了解し、意を決して”猪○△○武家跡地”へ進み出した。

草木が顔に直撃し、湿気で酷く濡れた髪と服に不快感を感じながら進んでいくと、かなり広い空間に到着した。そこには何らかの建物があったと思わせる木の土台があり、小さなお墓のような物が不規則に至るところにありとても不気味だった。今にも懐中電灯で照らした木の陰から化け物が襲って来るのではないかと、この場の雰囲気が不安を駆り立てる。友人は「何を見ても何を聞いても家に帰るまで何も言うな」と言ったが、僕はここに向かって歩いてくる段階で既に怖い思いをしていた。これを1人で抱え込むのがつらく友人に言ってしまった。

「…足音…多かった…よね?」

友人は意外な反応を見せた。

「やっぱりそうだよな?」

友人も気づいていたのだ。

まさかの同意見に僕達は完全にビビってしまい早歩きで車へ引き返した。

2人とも無言で車に乗り込むと僕は速攻でエンジンをかけようとしたがエンジンがなかなかかからない。

こんなベタなこと本当にあるんだな…

と思いながらカギを回し続けるとようやくエンジンがかかり急いで車を走り出した。

ふとルームミラーを見ると懐中電灯のような光が激しく揺れているのが見えた。それに驚いて隣にいる友人に「後ろ!」と言いながら友人の方を見るとそこに居るはずの友人がいないのだ。

僕はパニックなり急ブレーキをかけ、再びルームミラーで後ろを見るとやはり懐中電灯のような光が見えた。

もしかして…、そう思いドアを開け後ろを確認すると友人が凄い勢いでこちらに向かって走ってくるのがわかった。

絶対におかしいのだ。間違いなく友人も一緒に車にのった筈なのに…。それじゃあの瞬間に僕と一緒に車に乗った奴は誰なんだ?

そんな事考えてるうちに友人が

「早く出せよ‼︎」

と怒鳴っている。

僕は再び車を走り出した。もう何が何だか分からず、兎に角家に帰りたかった。

だが現実は甘くなかった。

気がつくとまた”猪○△○武家跡地”と書かれた木の看板が見えてきた。

来た道を戻っていたはずなのに何故またここに戻ってきているんだ?!

車を停車し冷静になろうとすると、

絶対におかしい…

絶対におかしい…

絶対におかしい…

絶対におかしい…

友人は隣でブツブツと繰り返し同じことを喋っている。

なんなんだよこの状況は…

ふざけるなよ…

僕は心の底からそう思った。

そして鈴の音が聞こえた。

最初は一つだった鈴の音が、二つ、三つ、四つとだんだんと増えていくのが分かる。

僕は恐怖で前を向いていられなくなり、ハンドルにもたれかかるように顔を伏せた。

僕の記憶はここで消えている。

友人も同様に鈴の音が聞こえてから記憶がない。

気付いた時には朝になっており、二人はそのまま何事もなく帰路についた。

それから友人とまた会う機会ができた。

そしてあの時の話をした。

まず足音が多かった事については2人とも同意見で、さらに詳しく説明すると僕が聞いた足音は、僕のすぐ両脇に1人づつ足音聞こえたということ。つまり僕を挟むような状態で。友人も全く同じで、友人を挟むように両脇に1人づつ足音が聞こえたこと。合計すると4人の得体の知れない何者かが僕達の両隣を歩っていたことになる。

そして車に乗り込んだはずの友人が居なかった件について友人の説明だと、

「転んだ俺を置いて1人で車を走り出したんだ」と主張する。

まず転んでた事が初耳であり、僕は確かに友人と一緒に車に乗り込んだと主張した。

でもまあ、あの状態じゃ何が起きても不思議じゃないよな…。と友人が小さく呟く。

帰っているつもりが、またあの場所へ戻ってしまった件については今だに理解できない事である。

最後の鈴の音を最後に記憶が無い事実も何ひとつ理解できない現象である。

そして”猪○△○武家跡地”とはなんだったのだろうか。分からないことだらけである。

ただ思う事がある、

人間の記憶というものは、生きていく上で不必要な記憶、もしくはその人にとってマイナスになる記憶などトラウマになりかねない記憶を頭の中のから勝手に脳が削除すると聞いたことがある。

僕達の場合は恐怖。鈴の音が聞こえてからその先の出来事で必要以上な猛烈な恐怖を経験してしまったから脳が勝手にその記憶を消してしまったのではないだろうか。

何故なら僕はあの日から鈴の音を聞くたびに身体が震え立っていられなくなる程の鈴の音恐怖症になってしまったからである。

鈴の音が聞こえてからの出来事…

僕のこの目は何を見てしまったのだろうか…。

Concrete
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やあロビンミッシェルだ。

俺も某ダム湖の真ん中辺りにボートを浮かべて夜釣りをしていた時に、突如どこからともなく鳴り出した大量の鈴の音を聞いた事がある…ひ…

実体験とはこういう物、事の真相、落ちがないぶん余計に怖く、記憶に残ってしまうよな!…ひひ…∑(゚Д゚)

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また、経験談楽しみにしています。

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