中編3
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会わない方が良いもの

今日の出来事

雪のように白い肌をした 男性が救急搬送されてきた。

採血しようと思ったら 手が生温い 温かいわけではない 内臓を直接触った感触。

この人の血は 赤じゃないのかと思いながら

採血をする為に駆血帯を縛り直したら ???

血管が見えないってか 溶け始めてるんですけど 生きてますか?

アレルギーが出ている患者さんに 駆血したら バンバンに腫れて採血できなくて 叱られた経験がある。

その逆 わけわからない リアルに怖い なんで皮膚が崩れていくの?

隣にいた同僚と変な薬物摂取してないか 出来る検査は全てしたのよ。

先生が

「異常なし、でもおかしいから この人のカルテ こっちのパソコンに送って」と

言ったとたんに 辺りが真っ黒の闇に包まれてしまった 10秒ほどで非常灯が付き 人の顔が薄っすらと見えるほどになった。

白いベッドシーツに乗せられ水色のバスタオルをかけられて ストレッチャーに乗って その人は検査室から戻って来た。

何か 先生と検査技師と話している 二人の顔が怖い。

私は 他の患者さんのガーゼ交換やら 吸入やらをやっていた。

同期の子が 先生と検査技師の話しが難しくて分からんのだけど ここでは無理みたいよ。

それより 生きているのかを知りたかった。

転院させるって事は 生きているからでしょ!自分に言い聞かせた!

同僚と私は 先生から 転院先も聞くな あの人の事は忘れろ ここには搬送されていない。

そりゃ無理でしょ。カルテもあるし 救急搬送の記録もあるし 現に まだここにいますけど。

その人を見て驚いた。 こちらに向かって歩いてきた! 気力と体力があるなんて

頭から足まで真っ白 もちろん目も にごってるのかな?白っぽい。

何か伝えたいらしい。

誰も口を開かない。

わたしが 椅子に座ったら?と突拍子もない事を言ってしまった。

有難うとニャッと笑ったら唇が剥がれた。

とたんに 回りのスタッフが後ずさりをして 遠巻きで見だした。白い人の近くには私だけしかいない。ヤダ ヤダ!もっとみんな近くにきてよ。ウイルス性のものだったら?飛沫感染だったら? 私はさっき 駆血帯した時 手袋はめてたよね。マスクもはめてるよね。頭の中がぐるぐる 落ち着いて落ち着いてと 自分を静める。

[貴方看護師じゃないでしょ!]

その人が言った。

私が問います、

貴方は生きてるの?死んでるよね。

私は確信した この人は私の敵

悪霊 それも必ず地獄に引き込む 骨の髄までしゃぶりつく悪玉だ

私がここにいられなくなる。死んだ人間は治療の為の採血はしない。

私に挑戦する為にわざと 採血させたんだ!

???でも誰が???仲間がいるはず まさか催眠術?

::::::

たとえ敵でも 私がいなければ この病院の人達は今までどおり安心して日常を送れるなら この白い人と とりあえず外に行こう。

多分 白い人しか みんなには見えていないはず。

貴方のリンパ液やらが落ちると チョー不潔だから病院の庭に行きましょう。

みんな白い人に礼をしていた。これも睡眠術効果?

今日は半月 吉と出るか凶と出るか それで私の運命って(終わってるけど) 決まる。

白い人に言った。

今日の月は思う事を叶えてくれるみたいよ。催眠術の使える貴方には 子供だましね。

暫く待って 最後の祈りよ。

月の斜め横から 流れ星が流れた 暗闇がエメラルドグリーンに囲まれた。あまりの眩しさに体が透けてしまいそうだ。

白い人はいない 消えてなくなったようだ。

::::::

院内にもどり 周りを見ると 電気も全て元に戻っていた。

でも ここにいるのは もうやめよう。他の病院にいこうかな。

はじめからいない看護師の退職届受理してくれるかな?

病院の裏庭を通ったら 同僚がいた 多分忘れているだろう。

じーっと見られた。

まさかね。幽霊だとはね。

生きてる人としか仕事できないから 残念だわ。

目 パチクリ 知ってた 見えてた わかってた

なんて大物。

ありがとう。身体大切にね。

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