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短編2
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犬盗りの話

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犬盗りの話

某Aから聞いた話です。

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場所は伏せますが、福岡県とだけ書いておきます。

Aがまだ、高校生だった頃の話です。

いつもの下校時間。

いつもの通学路。

田舎町特有のツタの絡んだ古びたフェンスにヒビの入った電柱。

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何一つ変わらないいつもの風景。

いつも通り歩き、いつもの踏切で電車を待つ。

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カーン

カーン

カーン

カーン

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遮断機の前で電車が通るのを待つ。

しかし、何か違和感を感じる。

線路の方からだ。

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music:3

線路に見知らぬ白い大きな毛の塊が転がっていた。

その毛の塊は

モゾリ

と微かに動く

毛の塊だと思った物は

しっかりとこちらを見つめ

鳴いた。

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shake

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わん。

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music:3

それ

は犬の頭の形をしていた。

犬の頭のみのそれは、

はっきりと、

人間のような発音で、

しっかりと、

鳴いた。

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Aは突然の事に硬直した。

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電車がやってくる。

大きな犬の頭の上を走る電車。

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すると跡形もなくその犬の首はきれいさっぱり無くなっていたのだ。

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その数年後。

Aは母親から衝撃的な話を聞いた。

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「昔はこの辺も犬盗りのせいで犬を外で飼えなかったんだよ」

聞きなれない単語にAは犬盗りとは何か、と聞いた。

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「昔はね、犬の肉は高値で売れたんだ。赤い犬が美味しいと言われていたが、皮を剥いてしまえば分からないから、皮を剥いて肉にして売っていた。○地区の人間は片っ端から犬をさらって殺して売った。野良犬が居なくなると次は民家で飼われてる犬を盗んで肉にした。」

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「昔は殺された犬の頭がそこらじゅうに転がっていたよ。」

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その時、Aの脳裏に昔見た犬の頭が浮かんだ。

あの犬の頭は、殺された犬たちの怨念なのかもしれない。

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sound:2

終わり

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