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~両親のいない少女~
ロゼッタは10歳になる少女でしたが、両親はおらず
継母と一緒に暮らしていました・・・・・・
継母は酷い女で自分で女らしい家事を全くせず
召使も雇わずロゼッタをこき使っていました。
その継母はというと身持ちの悪い女で、継母の家にはしょちゅう
いろんな男が出入りしていました・・・・・・
ロゼッタは継母と男が逢引する姿を見て
自分が両親と暮らしていない事を疑問に思い、
継母に尋ねた事も幾度かありましたが
継母は何も教えてくれずその返事は
いくら尋ねても全く変わりませんでした。
それどころか継母はロゼッタに両親の事を
聞かれるにつれ、酷く怒るようになってきました。
だんだんとそんなロゼッタを邪魔くさいと感じるようになった継母は
ロゼッタをこの家から追っ払ってしまおうと考えました。
翌日、ロゼッタに外で一日中遊んできてもいいと指示を出し、
誰もいなくなった家に一人残った継母は人攫いの男を家に呼び、
ロゼッタを攫う相談をしました。
人攫いの男が帰った後、継母はとてもずる賢いウサギ、強い毒を持つ蛇、
それからとても美しい声で鳴く鳥を一匹ずつ順番に家に呼びました。
そしてまず最初にやって来たウサギにこう言いました・・・・・・
"前に頼んで女を一人、人攫いに攫わせたように、
あの子を泉におびき寄せて人攫いに攫わせて欲しい"
成功すれば金貨をたっぷりやると・・・・・・
そして次にやって来た蛇にはこう言いました・・・・・・
"この時間にこの場所に行けばまるまる太ったウサギが居る。
ついでに、前に男を始末させたように、あの子をお前の毒で噛み殺しておくれと"
そして継母は最後にやってきた鳥にこう言いました・・・・・・
"この時間にここに行ってその美しい声で鳴けば、お前を喰おうとバカな蛇がやって来る
それを巣まで攫っていって子供達と一緒に食べておしまい"と言いました。
~継母の策略~
ある日、まだニワトリも鳴かない頃に家事のために
起きてきたロゼッタは驚きました・・・・・・
それというのも今までロゼッタより遅く起き、
自分が寝坊しようものなら、暖炉から火掻き棒を持ってくるような
継母が家事を行い、食卓にはとても美味しそうな朝御飯がロゼッタの
為に用意されていたからです。しかも継母に怒ったような素振りは
全くありませんでした・・・・・・
食卓の上には見事なベーコンの上に乗った卵とふっくらしたパン、
それからじっくりと煮込まれたカボチャのスープがもの凄く
いい匂いの湯気を立たせていました。それらをじっと見つめるだけの
ロゼッタに気づいた継母はとても優しい笑顔でロゼッタになおも
いい香りを立て続ける食事をとるよう促しました。
最初は警戒するロゼッタでしたが、
今まで嗅いだ事の無いような食べ物の匂いに勝てず、
それらをすぐに平らげてしまいました・・・・・・
~継母のお使い~
食事が終わると継母はお前の朝食で食べ物が無くなってしまったと言って
隣町までのお使いに言ってきておくれとロゼッタに頼みました。
お使いの中身は少量のお肉とワインを一本だけでした・・・・・・
お財布の中にはたくさんお金が入っており、あまりの多さにロゼッタが
言葉を失っていると、継母はあの優しい笑顔でお使いについでに
欲しいものがあったらなんでも買っておいでと言いました。
更に隣町に行っても恥ずかしくないようにと継母は、ロゼッタにとても綺麗な赤の
フリルのドレス渡しました・・・・・
もちろんそのドレスはロゼッタが高く売れるよう、継母が人攫いのお金で用意した物でした。
その様子に流石に不信感を抱いたロゼッタは継母に気づかれぬようにそっと
ナイフと空のワインの瓶を買い物袋に忍ばせ、
そして継母に声をかけるとロゼッタは家を後にしました・・・・・・
ロゼッタが出かけたのを見届けると継母は"ロゼッタにあのドレスは似合わない"
"さっきの食事に無駄に食事を使った"等と
ひとしきり毒づき、すぐに人攫いの男を呼びに行きました。
しかし継母は出かけたはずのロゼッタが玄関を出てすぐに物陰に隠れて継母の様子を
伺っていたのに気づきませんでした。そしてロゼッタは継母の後をつけて行き
継母の企みを全て知った後、継母のお使いへと向かいました・・・・・・
~賢いロゼッタ~
お使いに行き始めたロゼッタの前に最初に現れたのはまるまると太り、
とてもずる賢そうなウサギでした。
ロゼッタの前に現れたウサギはロゼッタにまず遊び相手が居ないから
一緒に遊ばないかと誘ってきました。
ロゼッタはウサギが子沢山な事は知っていたので"あなた達は退屈するほど遊び相手が
いない訳ではないでしょうと"答えました。
しかし、ロゼッタを逃すわけには行かないウサギはしつこくロゼッタに食い下がりました。
ウサギが継母の手先であることを確信したロゼッタは諦めた振りをして、
ウサギについて行きました。
ウサギは隣町からずっと道を逸れると、ロゼッタを人気の無い場所へと連れて行きました。
そして綺麗な泉が見えてきた時、ロゼッタは買い物袋のナイフを取り出すとさっと
ウサギに襲い掛かりました。
ロゼッタとウサギはしばらく格闘しましたが、結局ウサギは生きたまま皮を剥がれ、
ロゼッタは泉の水でウサギの肉をに付いた血を綺麗さっぱり洗い流しました。
そのついでにロゼッタは血のついた服を洗い、服が乾く間、泉の水で水浴びをしました。
その後、ロゼッタは皮を剝いだウサギの肉を買い物袋に仕舞い込んでから
泉の近くの茂みで、継母の手先の蛇が来るのを待ちました・・・・・・
継母の言いつけどおり打ち合わせの場所にやってきたはずの蛇は楽しみにしていた
獲物が居ないのを知って怒りましたが、
せめてロゼッタだけでもいないものかと、辺りを探し始めました。
蛇を仕留めるタイミングを窺っていたロゼッタは蛇が近くに来ると蛇に飛び掛り、
今度は一瞬で蛇の首を斬り落とし、蛇から流れ出る血一滴だけ泉に入れると、
残りは持ってきたワインの瓶に取りました。
継母の最後の手先の鳥は蛇が死んでからしばらくしてやってくると、
餌にありつこうと今まで一番美しい声で声高らかに
歌いました。しかし何時までたっても蛇が現れないので、
声を枯らした鳥はロゼッタが蛇の毒を混ぜた泉の水を飲んでしまい、
最後にはウサギと同様皮を剥がれ、肉の塊となってしまいました・・・・・・
~戻ってきたロゼッタ~
ロゼッタが何事もなくお使いをすませて帰ってきた事に、家で人攫いと会っていた
継母は面食らいましたがすぐになんでもない振りをすると、
食事の準備をすると言ってロゼッタの買い物を預かりました。
ロゼッタは疲れていて食欲がないと継母に嘘をつくと、自分の部屋へと向かい
ベッドに横になりました・・・・・・
家へと帰る途中でロゼッタはこのまま帰れば人攫いの男がいることも、
継母が後日また自分を殺しにかかるであろう事を予想し、
継母達の命を奪う準備を整えていました・・・・・・
継母の手先を片付けたロゼッタは人攫いと継母が飲むであろうワインに継母の手先だった
蛇の毒に絞った山葡萄を少し混ぜていました・・・・・・
そうしてロゼッタは自分はウサギの肉だけ懐の中に隠したまま自分の部屋に向かいました。
何も知らない継母は食事を作りだし、人攫いは毒の入ったワインを飲み、
継母も人攫いに誘われ毒入りワインを飲んでしまいました・・・・・・
しかしロゼッタが現れた時、人攫いと継母は虫の息でしたがまだ生きていました・・・・・・
蛇の毒は強力でしたが毒の量が足りず、二人とも死ぬ事はできなかったのです・・・・・・
そこでロゼッタは庭にあった手斧を持ってきてそれぞれ虫の息の人攫いと
継母に振り下ろしました・・・・・・
ロゼッタは二人が完全に息絶えたのを見届けると、継母の作りかけのシチューに
ウサギの肉を加えて完成させ皿に盛り、
お使いに行って、空になったお腹をいっぱいに満たしました・・・・・・
その後、お腹を完全に満たしたロゼッタは継母が人攫いが貰っていた金貨を背負うと
継母達の死体もそのままに、人攫いの家へと移り住み、
人攫いの持っていた金貨を使って幸せに過ごしました・・・・・・
作者碧いウサギ