僕のおじさんから聞いた話です。おじさんの小学生の頃の話ですから40年ほど前の話です。
おじさんは地方都市で生まれ育ちでその都市では古い町に住んでます。
おじさんの町内で一番大きな家は〇田家(うろ覚え)で江戸時代から続く商家で店は別のところにあり家だけが同じ町内にありました。
そこの家には大学生の兄ちゃんがいました。年が離れているの遊んだ記憶はないのですが、顔を見れば挨拶する程度だったりお菓子を買ってもらったそうです。
東京の名門大学に通っていて帰省中だか休学中だかで家に戻って時の話です。大きな家の2階のべランダみたいなところで本を読んだりしてるのが道からよく見えたそうです。
「おう!〇〇ちゃん(おじさんの名)元気か?」
「うん」
「そうか、遊びにおいでよ」おじさんはその家の中に入っていきました。玄関には甲冑、そして壁には高そうな絵、庭もすごく驚いたそうです。その兄ちゃんの部屋も2間続きで壁には本棚がありたくさんの本が並んでいたそうです。
宇宙の話、科学、動物昆虫、望遠鏡を覗いたり、本や図鑑を見せながらいろんな話をしてくれたそうです。行く度にケーキとジュースが出て何よりもそれが嬉しかったそうです。
「友達が死んじゃったよ・・・」ある日いきなりそう言い出したそうです。凄く寂しげな目で行ったそうです。
「病気で?」
「うん、病気でね、皆病気で死ぬよ・・・」
「そうだんだ、何の病気?」
「心の病気かな?」
それから数日後
「また友達が死んだよ、これからたくさん亡くなるよ」
「そうなの?病気」
「心の病気・・・・かわいそうだね、土の中、寂しい山の土の中・・・」
なんだか怖くなりそれから兄ちゃんの家に行かなくなり、そんな話を家ですると親が
「もう〇田さんのところ行ってはダメだからね」ときつく言われました。
それから数日後、道から兄ちゃんの姿が見えました、いつものようにベランダにいて
「お~い!また死んだよ・・・・もう何人だろ」大きな声で言われたそうです。優しい目ではなく光ったような目で言われたそうです。
後日、父が新聞読みながら
「ひでぇことするな、今の若い人間は何考えてるんだか」
「学生運動で仲間割れか何かでたくさん殺し、山に埋めたんだよ」と言ったそうです。
小学生であまり意味がわからなかったおじさんでした。
その日だかにその兄さんの家に刑事さんが来て連れて行ったそうです。でもすぐに家に戻され病院に入院しました。
中学生の頃、父親からいろいろ話しを聞いたそうです。
その兄ちゃんは学生運動の幹部で運動に挫折したのか精神を病んでいたそうです。警察もマークしていて聞き込みもおじさんの家まで聞きにきたらしいです。
そしてその事件後おじさんの父が警察に
「うちの子が〇田さんから聞いたみたいで・・・」
「友達が死んだ、土の中、山で・・・」
警察は
「いや~24時監視で家から出た気配もないし、詳しくは言えませんが電話も・・・・ですから知っていたなんてありえないんですけど・・・」
その兄さんは精神病院で亡くなったらしですがどう亡くなったかは知らないそうです。
おじさんは今でも不思議でならないそうです。
作者退会会員