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中編3
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追いかけてくる、何か。

私は、バイクが好きで高校二年生の時には二台所持しており

一台はGS400Eというバイクで、普段友達たちと遊びに行く時はいつもこれに乗っていた。

もう一台がオフロードバイクで、今回はそれに乗って出かけた時に体験した話を書こうと思う。

峠道から存在感のない小道を進むと、道の辻にお地蔵さんのようなモノがあり、いつも手を合わせてから、林道に入るようにしてたのだが

この日は忘れてしまい、それをしなかった。

晴天の中トコトコと走り、のんびり頂上で休憩をしていると、なんだか後ろから視線を感じる。

恐る恐る振り返っても特に何もない。

侵入禁止と書かれたフェンスが、洞窟の中からの風でカシャカシャ音を立てているだけであった。

なんだろうとと思いながら

ボケーっと座っているとあれだけ晴れていた空が曇ってきている。

なんなんや…もう帰るか。

と独り言をブツクサ言いながら

バイクにまたがりエンジンをかける。

だが、エンジンがかからない。

またか……

私の乗っているバイク、かなり古く気候と標高によってはエンジンに火が灯らないことが多々あった。

仕方がなく惰性のまま山を下ることにし、静かな山の中をザリザリと砂を弾く音を響かせながら走っていた。

中腹までおりてきた頃、音が増えていることに気づいた。

鉄を転がすようなゴロゴロと鈍い音がいつの間にか私を追いかけてきている。

ミラーで後ろを確認しても何も映っておらずというか、一本道しかなく頂上で行き止まりになっているため、何かが後から来ることは有り得ない。

少しブレーキをかけ、スピードを落として後方を確認するがやはり見えず。

音だけがどんどん近づいてきており、神頼みでバイクの鍵をonにし、ギアをサードに入れ半クラッチで繋いでみると

パランと快音を立てエンジンに火が灯った。

アクセルをあけ、事故らない程度に飛ばして山を下ると音はどんどん小さくなっていく。

よかった……そう思いながらようやく林道の入口、地蔵前にたどり着いた。

止まっているとまた追いかけてこられそうで怖かったが、手を合わすためにバイクから降り

チョンチョンし、山の上で食べるつもりだったオニギリを供えて帰路についた。

追いかけてきたものが気になり、図書館でその山のことを調べた。

戦時中、鉄不足によりあっちこっちの山で望薄ながら穴が掘られていた。

穴を掘っていたのは、捕らえられた外国の方々が中心となり坑夫や主要のお偉方のみが日本人であった模様。

その、私が行った山も然りで頂上付近から斜め下へ向け斜坑なるものがあり現在は危険なため入れなくしている箇所がある。

ここまで図書館で調べ私は山の麓へとまた向かった。

のんびりと畑を耕しているおじいさんを捕まえ昔の話に興味があり聞き回っていると話し、詳細を聞いた。

鉱夫たちは戦後、鉱山の麓に村を作り、農業を行い生計を立てていたがある年からまったく野菜が取れなくなり、さらに山からいるはずのないトロッコが下りてくると噂が立ち、山への入口となる辻に道祖神の像を設置した。

すると、その翌年からはまた作物が育ち村に活気が戻ったとのこと。

ありがとうございます。と伝えその場をあとにしようとすると引き止められ一言。

アッコはあんま近づかんほうがええよ。

何があるかわからんしね。

と忠告してくれたおじいさんは

うすら笑いをし、また農作業を行い始めた。

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