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Red Soil ~砂に消えたあなたを拾い集め…~

中編4
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Red Soil ~砂に消えたあなたを拾い集め…~

ある男の子が新しい町に引っ越してきた。

まだ小学一年生で、引っ越しの手伝いもせず近くの公園に遊びに行った。

公園にはブランコ、滑り台、砂場しかなく、寂しかった。

それでも十分な広さだった。

砂場に三十代くらいの女性が座っていた。

男の子は砂場で遊びたかったが、仕方なくブランコで待つことに。

しかし、いくら待っても砂場から出ない。

待ちくたびれた男の子は仕方なく話しかけた。

「僕も砂場で遊んでいい?」

「ええ、いいわよ。」

砂の団子やお城。

その女性も付き合ってくれた。

「ボク、作るの上手ね。」

「うん、得意なんだ。」

「ねぇ、お人形さん作らない?」

「いいよ。」

今度は女性が率先して作りだした。

かなり巨大な人形になりそうだった。

「おばさん、そんなに大きいの作るの?」

「そうよ、ボクくらいの大きさにしたいの。」

大量の砂を使った。

掘り進めるごとに鼠色だった砂がほんのり赤黒く・・・。

一時間ほどかかったろうか。

男の子と同じくらいの大きさの人形ができた。

「さぁ、これで仕上げよ。」

女性がバケツに用意していた糊を人形にかけた。

「おばさん、どうするの?」

「もちろん連れて帰るわ。」

砂人形は綺麗な女の子の形になった。

「ありがとね、ボク。もう遅いから帰りなさい。」

「うん。じゃぁね。」

砂場を出ようとしたその時。

「待ちなさい!!!」

女性に呼び止められる。

「ここに来なさい!」

砂場の上で服をはたかれた。

異常に神経質に、鬼の形相で。

「おばさん・・・?」

服についた砂は綺麗に落とされた。

「さぁ、これでいいわ。気をつけて帰ってね。」

さよならも言わずに全速力で帰った。

恐い、恐すぎる。

生まれて初めて見た恐ろしい顔gが何度もフラッシュバックしてくる。

無我夢中で走る中、ふとあるものが目に留まった。

さっき作ったのと同じ砂人形が大量に置かれた家がある!

よく見ると、男性が砂人形を綺麗に磨いている。

涙をこぼしながら。

一体ずつ、愛情をこめるように。

「ひっ!」

とてつもない恐怖。

先ほどの倍のスピードで自宅を目指した。

「ただいま~!」

玄関の明かりのおかげで恐怖が急激に薄れていく。

「あ、おかえり。片付けも終わってご飯も出来てるわよ。」

「うん。カレー?」

「あら、どうしたのその手?」

「えっ?」

ほんの少し赤黒くなった手。

何故か生温かく感じた。

「さ、手洗いしてきなさい。」

「は~い。」

話そうかどうか迷った。

たぶん変な顔をされるだろう。

でも、話して楽になりたい。

「ママ、さっきめっちゃ怖かったよ。」

「え?何が?」

「なんかね、ちょっと怖いおばさんと一緒におっきな砂の人形作ったの。帰るときに急に怒って砂をはたかれてね。」

「やだ、不審者かしら!なにもされなかった?」

「うん、けがもしてないよ。それでね、その砂人形と同じやつがいっぱい並んでる家があったの。おっきな女の子の形の砂人形。」

「どこのおうち?」

「えっと、公園の出口を右に行って4番目の家。」

「確か…、村上さんちね。」

「いつも人形あるの?」

「いや、そんなのないわ。お嬢ちゃんがいるはずよ。あんたと同い年ぐらいの。」

「そうなんだ。でね、おじちゃんがそのたくさん並んだ砂人形を磨いてるんだよ。光る泥団子みたいにさ。」

「へぇ、なんか気持ち悪いね。あそこの人は良く知らないけど近づかないほうがいいわ。今度から気をつけなさい。」

「うん、分かった。」

…。

数日後、このようなニュースが流れた。

「こちらは○○町の××公園です。ブルーシートがかけられ、警察が捜査を進めています。警察は近所に住む△△容疑者とその妻を殺人及び死体遺棄の疑いで逮捕しました。殺害されたのはこの夫婦の長女である□□ちゃん。殺害は故意ではなかったと供述しています。殺害後に事件発覚を恐れ、砂場に遺体を破棄したとみられています。なお、この夫婦は精神鑑定の必要があり…。」

事の真相はこうだ。

夫婦は誤って娘を殺害してしまった。

隠ぺいのために砂場に娘を埋めた。

精神的な負担があまりに大きく、おかしな思想に取り憑かれ、奇行が始まった。

そのうちの一つが砂人形。

愛する娘を取り戻したい。

これが砂人形を作るきっかけとなった。

娘の肉体を含んだ砂で人形を作る。

この作業を砂場から娘を回収し終えるまで続ける。

誰もいない公園。

人形ができる度に砂が減っていく。

今日も作り、磨き上げる。

砂に還った我が子を引き戻すため・・・。

Concrete
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