俺はとある駄菓子屋に毎日のように足を運んだ。
ただ、そこで別に買い物をするわけではない。
ここの店をやっている婆さんはかなりボケているので、俺が万引きしても平気な顔をしている。
だから俺も平気な顔で万引きを繰り返した。
ある日、今日はナニを盗ろうかとお菓子コーナーなどを見ていたら、ひとつの飴玉を見つけた。
赤い飴玉で、中になにかがぽつぽつとある。
飴玉はこれひとつのようだ。
「婆さん、この中に入ってるの何?」
「え?私は今年で80になります」
だめだ。完全にボケてる。
まあいい。俺はパクリとその飴玉を口に放り込んだ。
その日からだった。
体に異変が起こり始めたのは。
まずは急激な腹痛とありえないほどの空腹感。
頭痛はいつものことで、たまに幻覚もみる。
おれは医者に見てもらったが、原因は不明との事。
俺は急に怖くなった。
なぜなら、前に本に載っていた話だが、とある国に旅行にいった家族が、そこだけでしか取れないフルーツを皮ごと食べた。
そして帰国後、その家族は全員死んだ。
その国でしか取れないフルーツには、皮の裏に棲みつく寄生虫がいるから、絶対に皮ごと食べないのだという。
もしあの時飴玉に入ってたのが寄生虫なら、俺はもうすぐ死ぬ?
そんなのやだ!!!
俺は急いであの駄菓子屋に行った。
確かその店に「虫下し」があったはずだ。
虫下しは下剤のようなもので、胃の中のものを全部出してくれる。
俺は店に行ったが、そこには虫下しはなかった。
「おいババァ!虫下しはどこにやったんだ!?」
「へ?私は今年で80になりますよ?」
くそっ!だめだ。
「わかった、買うから、その虫下しを買うから。お願いだ!」
すると婆さんは俺に手を出していった。
「4万2800円」
「は!?そんなに高いわけねーだろ!?」
「4万2800円」
何を言ってもだめだった。
俺は仕方ないく財布から4万2800円を出し、婆さんに渡した。
すると婆さんは、俺に虫下しを渡してきた。
俺は急いでそれを飲んだ。
かなり苦い。
すると、婆さんは、俺の渡した4万2800円を数え終わると、俺に言った。
「これはお前さんが万引きしたものの金額だよ。ちなみに、その飴玉に入っているのはピーナッツだ」
ピーナッツ?
じゃあ、寄生虫じゃないのか?
俺はホッとしたが、なんでボケてる婆さんが・・・・。
すると、その婆さんはどこにもいなくなっていた。
すると、店の奥から女の人が出てきた。
「あれ?お客さん?ちょっと待ってね、店を私だけで切り盛りするのって大変なのよ・・・」
作者水無 月