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短編2
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「乗りますか」

つい先日、同僚の送別会の帰り、駅で電車を待っていた時の事。

もうじき来る普通電車を見送り、後の特急に乗ろう・・・と考えながら、ぼんやりホームのベンチに座って電車を待っていた。

平日の夜遅い時間だからなのか、電車を待っている乗客は少なかった。

そして間もなく普通電車がホームに。

降りる人、乗り込む人・・。

ひととおり乗り降りが終わり、車掌が最後尾の小窓から顔を出して、発車の合図でドアが閉まり・・・・・・・???

閉まらない?

車掌が発車の合図をしない。

と、いきなり、

「乗りますか!!」

車掌が声を張り上げた。

声に驚き、顔を車掌の方に向ける。

すると、車掌は再び、誰もいないホームに向かって、

「後ろに下がって下さい!」

・・・・・???

ホームにいる乗客は

皆、空いているベンチに座っていて立っている人は誰もいない。

その乗客達も、私も、

無人のホームに叫ぶ車掌を何事か?と見ていた。

また一声、

「危ないから下がって・く・だ・・!?」

明らかに狼狽している車掌。

慌てふためき小窓から顔を引っ込めた。と、同時にドアが勢いよく閉まり、

電車は、ホームを逃げる様に出て行った。

・・・・。

私を含め、一部始終を見ていたホームの乗客の何人かは、誰からともなく、改札へ降りる階段へ向かい始めた。

「今日はタクシーで帰ろう」そう思い、私も階段へ向かった。

列車に乗らずに旅立ってしまった魂は、

乗りたくても、もう乗れない。

タクシーの中でそんな事を考えていた。

怖い話投稿:ホラーテラー タマさん  

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