短編2
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男と母

あまり怖く無い上に、最後はほっこりするパターンです。

ガッカリさせたならすいません。

小学5年の6月、急死で母を失いました。

あまりにも実感が湧かなさすぎて、

きちんと悲しめなかったことを今更ながらに悔やんでます。

母が亡くなってから、3回奇妙な体験をしました。

1つ目は、葬儀場で寝泊まりしていたのですが、そこでの金縛り。

いろいろとお父さんの手伝いを夜までしてたのもあって、疲れたのだろうと感じ、特に何も考えず寝ました(笑)

2つ目は、葬儀が終わってもすぐ火葬せず10日ほど家に母を寝かしていた(1階)のですが、祖母が何を思ったか皆で隣に寝てあげようと言い出し、そうしました。

夜中に目が覚めた自分は階段を5・6段登ったところに何か気配を感じるのですが、何も見えません。

でも、確かに何かがいる気配が伝わりました。自分は母がそこにいるのだろうと思って、安心して眠りました。

3つ目は、火葬も済み、49日があと少しで来るというタイミングでした。

学校にも戻り、母がいない以外、普通の日常でした。ある夜金縛りで目が覚めました。金縛りは疲れからと言いますが、こればかりは疲れでないという感触が確かにありました。

だって、隣に見知らぬ男が立っているんだから。夢かと思いましたが、妙に鮮明な上、握りしめて寝落ちしたプラモデルを確かな感触として掴んでいました。『あぁ、これが霊だな』と。その男は何やらブツクサいいながら少しずつ俺に近づいてきます。

最初の位置から半分位まで来た時、その男はビックリしたように扉を見て、反対側にある窓の方へ消えました。当然透けていくように。

それから10秒ほどあとに、扉から母が入ってきました。母は僕の部屋に何もいないことを確かめるようにして、男を追いかけるように窓へ消えて行きました。

あの男が何のために俺の部屋に現れ、そして近づいてきたかは分かりません。

ですが、母の慌てぶりと追いかけるように消えた様子からは、あのまま母が来ないと、自分はどうなったかと不安で仕方ありません。

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