短編2
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おばあちゃんの家で

私はおばあちゃんが大好きです。

なぜなら、私が生まれてすぐに両親は離婚し、小さい時の記憶はおばあちゃんに抱かれている記憶しかないから。

いつも優しいおばあちゃんと、いつものように遊んでいた時の話。

その日はテレビがある畳の部屋で、私が押し入れに入りおばあちゃんにちょっかいを出していた。

私 「いないけど~…いるよ~!」

押し入れの陰に隠れては顔を出す。

おばあちゃん 「わぁ~」

優しい。お年寄りの心の広さというものに限界はないのだろうか。見習うべきだ。

その優しさに気づいているのかわからないが、子どもというのは何度も同じことを繰り返す。

私 「…いるよ~!」

おばあちゃん 「わぁ~」

私 「でへへ」

私 「おばあちゃん」

おばあちゃん 「ん~」

おばあちゃんが振り向く。

その瞬間、楽しかった時間が恐怖にかわった。別におばあちゃんの顔が怖かったわけじゃない。

おばあちゃんが押し入れとは逆にある台所の方を向いたから。今まで私と遊んでいたおばあちゃんが押し入れにいる私の声に反応して台所の方を向いたから。

なぜか、二度と押し入れから出れなくなるような気持ちになり急いで出たかったのですが、その時は「おばあちゃん」と呼ぶことしかできません。

その後、泣きながら押し入れから出た…んだと思います。っていうのは記憶が曖昧だから。気絶したわけでもないし、小さい時の記憶はあてにならないので深くは考えませんが。

それから押し入れ入ることはなくなり、閉所恐怖症になりました。

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