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中編3
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来ます

転載です。すごく怖かったので。

俺の友人でズボラな奴がいた。

ある日、そいつん家に遊びに行くと、奴はトウモロコシを焼いていたんだが、何かがポロポロ落ちている。

虫だった。

「おおおお前何してて」

と慌てて俺が言うと

「ちと古いモロコシだったからなあ。でもホラ、TVとかで虫食ってる国とか出るじゃん?

似たようなもんだって、お前も食うかい?」

「いや、断る」

「なら1人で食うもんね」

と、物凄い勢いでモロコシを回し、ガリガリと食ってしまった。

「お前絶対腹壊すって」

俺が言うと、そいつは

「虫の幼虫だけにね、お腹がね」

と、訳の解らない事を言ってゲラゲラ笑っていた。

それから一週間後くらいに、そいつん家にいった。

そいつは古い木造造りのアパートの2階に住んでいて、道路からそいつの部屋半分が見えるんですね。

(カーテンも薄い)

で、その日の夜に道路からそいつの部屋を見上げると、蛍光灯に照らされたそいつの影は、

飛び跳ねたり変な踊りをしていたりと異様な光景があった。

俺はビックリしてアパートの階段を上がり、そいつの部屋をノックすると

「ぐるんぐるん」「うにょんうにょん」

と、訳の解らない言葉が聞こえる。

恐る恐るドアを開けてみると、そいつは畳みの上で寝転がりクネクネと体をくねらせているではないか。

それを見た自分の体から血の気が引いていった。

心臓の音が物凄くゆっくりになったのを覚えている。

俺を見つけたそいつは

「きたんきたん」「みてんみてん」

と、訳解らん言葉を吐きながら、這いつくばってクネクネさせながら俺に近付いて来ました。

「ちょちょちょちょ」

俺が叫ぶとそいつは急に立ち上がり

「わりー、ビックリした?」

と、言ったので

「オメーふざけんなよ!マジでビビッタじゃねーかよ!」

そう俺は怒りながらそいつの顔を見た。

が・・・

目がイッている。

俺に話しているのに焦点があらぬ方向に行っている。

そして常にステップを踏ん でいる。

「お前どしたん?」

そう心配して言うと、そいつが

「こうしてないとさ、来やがんだよな」何が?「上から、ね」ん、ん、ん?

だから何が?「だいたいは部屋の隅からやって来ます」いや、

だから・・・「たまーに排水溝からやって来たりもします、します」あの・・・

「来ます、来ます、来ます」わり・・俺帰るわ・・・「来ます、来ます、来ます」

そして俺は、そいつの「来ます」コールを背にアパートを後にした。

それからは、さすがに恐くてそいつには会っていない。

そいつの家族には

「なんかちょっと疲れてるみたいなので様子を見に行ってあげてください」

と電話はしておいた。

他の友人の話だと、今はどっかの病院に隔離されているだとか、

アフリカ(何故?)に旅立ったとか色々な噂を聞くが・・・

とりあえず俺はそいつには二度と会いたくはないです。

あまり恐くなくて申し訳ないです。

でも俺にとっては死ぬ程恐かった出来事でした。

あの時の焦点の合わない友人の目は今でも忘れられません。

「来ます、来ます、来ます」

の声も。

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