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オンボロ屋敷のダラダラ子・後編

中編3
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オンボロ屋敷のダラダラ子・後編

前回までの粗筋。

生理血フェチの田中と何だか変態っぽい三島の陰謀に巻き込まれた俺は、隣町の公園にいるという、足の間から血を流す少女の幽霊《ダラダラ子》を見に行くことになった。

一人で変態二匹をセーブするのは不可能だと考えた俺は、ダラダラ子を見たことがあるという知人の狐目を巻き込み、公園へと向かった。

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「彼女が、ダラダラ子です。」

そう言って狐目は顔を背けた。

公園の隅の東屋から出て来たワンピースとボロボロのサンダルの少女。

彼女の足の間には、確かに鮮やかな赤い液体が伝っていた。

「うわぁ・・・!本当に居た!!」

田中が目を丸くして呟く。

そして、懐から携帯電話を取り出した。どうやら写真を撮るつもりらしい。

普通なら単なる心霊写真の撮影なのだろうが、田中は生理血フェチなので、その撮った写真を何に使うのかを考えると・・・。

ダラダラ子が気の毒だ。

そんなことを思っていると、突然狐目が口を開いた。

「此処では撮らない方が良いですよ。」

「え?」

「メノフィリアの田中君ですよね?・・・きっと今に後悔しますから、此処では撮らない方が良い。」

狐目が、初対面の奴に自分から話し掛けるのは、珍しい。

きっぱりとした言い方に、 田中は不思議そうな顔になりながらも頷いた。

其れを横目で見てから、狐目は生垣を乗り越え、ダラダラ子のすぐ傍に行った。

「来てください。特に何もないですから。」

そう呼び掛ける狐目が立っているのは、ダラダラ子から二メートルと離れていない距離だ。

どうやら奴の存在自体に、ダラダラ子は気が付いていないらしい。

ガサッ

軽い音を立てて、三島が生垣を乗り越えた。

「本当に見えてないみたいだね。」

ダラダラ子の視界を手で遮りながら笑う。

変態臭い。

「・・・行くぞ。田中。」

俺はマゴついている田中の首根っこを掴み、生垣の向こうまで歩いて行った。

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ダラダラ子の近くに行くと、田中が固まった。

「あ?」

みるみる内に顔が青ざめていく。

「これ、経血じゃない・・・。」

「ええ。経血ではありません。」

狐目が忌々しげに吐き捨てた。

「だから言ったでしょう。今に後悔するって。」

足を伝う液体を見詰め、林の中に声が響く。

「彼女はとある民家で、義理の父親に殺された。」

「其の血を流させたのも、彼女の義父です。」

「破瓜の血なんですよ。其の血液は。」

田中が、ゆっくりと地面に崩れ落ちた。

ダラダラ子はやはり、何も反応せずにただぼんやりと立っていた。

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心に傷を負ったらしき田中を家に送り届けた後、狐目はダラダラ子について色々と教えてくれた。

「彼女は、元々はオンボロ屋敷に居たんです。」

「オンボロ屋敷?」

「心霊スポットですよ。・・・元、ですが。」

「今は違うのか?・・・ああ、ダラダラ子が出てきちゃったんだもんな。」

「いいえ。取り壊されたんです。先だっての台風で壊れてしまってたので、町の方に危険と判断されたんでしょう。」

「だから公園に来たって訳か。其れにしてもどうして出てたのか・・・。ホームレスじゃあるまいし、家が有ろうと無かろうと、幽霊じゃ関係無いだろ。」

「・・・彼処に、何か思い入れがあったのかもしれません。」

「あの公園に・・・ねぇ。せめて、楽しい思い出だといいんだけどな。」

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「でも、もう彼女は、彼処には居られないのでしょうね。」

何処か寂しげな狐目の言葉に、思わず聞き返した。

「え?」

「三島君に見付かってしまいましたから。」

三島は、道が違うからと言って帰ったのだ。

見付かった?ダラダラ子のことか?

彼は、何をするのだろうか。

「知らない方が良いですよ。知ったところで、どうにもならない。」

また其れか。

「・・・俺達の所為か?」

「さあ?・・・遠からず、起こっていたことでしょうけどね。どうせ行く道は同じだから。」

あっさりとした口調。

けれど、伏せられた目は、ちゃんと悲しそうに見えた。

俺はもう何も言わず、ただ、夕暮れの中を歩いて行った。

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~~~

その後、狐目の言った通り、ダラダラ子の噂は消えた。

そして、三島の家には、真っ赤な血液が付着した、ボロボロの子供用サンダルが一つ増えた。

彼がどうやって其れを手に入れたのか、手に入れた其れをどうしたのかは、知らない。

Concrete
コメント怖い
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裂久夜さんへ
コメントありがとうございます。

いえいえ。此方こそタグを辿ってまで読んでくださり、有り難うございました。

無理矢理ハッピーエンドにしようにも、救いが無いですからね。僕としても複雑な気分です。

同感ですね。そう言ってもいられないのかも知れませんが・・・。

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まっしろさんへ
コメントありがとうございます。

はい。其の通りだと思います。
僕は想像力が貧困なので、ちゃんとイメージ出来てるかは分かりませんが・・・(笑)

登場人物の顔の造作は、皆様の御想像にお任せしていますので、其処はどうぞ、まっしろさんのお好みで。

お待ちしております。
よろしければ、次回もお付き合いください。

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お返事いただきありがとうございます。
なるほど、目が狐に似ているというより、お顔の雰囲気が狐に似ているのですね。
そういえば私の知り合いにも狐に似たお顔の方がいました。目はどちらかというと細目で、顎が細くて、頬が少し痩せた感じの人なのです。
木葉さんもそんな雰囲気なのかしら…(と勝手に想像してみたり…)

まだまだ聞きたい事がありつつも、長くなってしまうのでまた今度お聞きする事にします。。
次のお話も楽しみにお待ちしていますね。

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まっしろさんへ
コメントありがとうございます。

後味の悪い話ですよね。
三島さんは、嫌な人です。性根が腐っているとでも言いましょうか・・・。烏瓜さんは変態ではありますが、嫌な人ではありませんよ。多分。

形としては切れ長ですが、そう細い方だとも言えないと思います。狐目というより、本物の狐みたいな顔といいますか・・・。説明が難しいですね。

似てると言われたのは・・・何ででしょうね。
相手はお客様でしたし、リップサービスかも知れません。あるいは雰囲気とか・・・?

まず自分がピクミンに似ていることを受け入れたくないです(笑)
まぁ、少なくとも兄は丸目ではないですよ。

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紫音さんへ
コメントありがとうございます。

当事者でない僕ですが、強い憤りを覚えました。
義理の娘云々もそうですが、小学生相手にそんな行為をしたあげく殺害なんて、けして許されることではないと思います。

ロリコンの友人がそうならぬよう、しっかりと見張っておかねば・・・。

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mamiさんへ
コメントありがとうございます。

あの二人の話は、まだ一応ストックが有りますので、此れからもちょぼちょぼと書いていきたいと思っています。

木葉さんも烏瓜さんも高校生でした。今ならどうにかできたのかも知れませんが、仕方の無いことだったのでしょう。
三島さんは何と言いますか・・・本物の変態なのだと思います。多分。僕もあまり理解はしたくないですけれど。

いえ、そんなことはありませんよ。
まだまだ未熟者です。
ですが、勿体無いお言葉ありがとうございます。

先程の地震、ネット等では随分と騒がれていたようですが、mamiさんは大丈夫でしたか?
震源地に近い所にお住まいならば、どうぞ、余震に気を付けて。お休みなさい。

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私にとって、色々なモノが詰まったお話しで…
お二人のお兄さんのお話しが読めたことは何より嬉しく、木葉さんの優しさもとても伝わってきて…なのに、悲しすぎるお話で…
そして、最後の人は…興味があった人でしたが、本当にお近づきになりたくない人ですね。

今更ですが、紺野さん本当にお話しがお上手ですね。引き込まれていきました。本当に今更でした。

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