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短編2
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夜の話売り〜横断歩道〜

これは友達から聞いた話。

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私は霊と言うものを全く信じていませんでした。

いつものように私は帰り道を歩いていました。

その日は部活で帰りが遅くなってしまいあたりは暗く、寂しい感じでした。

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横断歩道。

ヘッドホンで音楽を聴きながら帰っていた私は足元を気にせずに歩いていました。

カランと缶のかわいた音が足元でするまでは。

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缶はオレンジジュースでした。

中身はもうほとんどありません。

ゴミかと思いましたが、ふと隣の電柱の下を見ると花束やらお菓子やらジュースやらが置いてありました。

そういえばここで交通事故がありました。

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その事故は少年がトラックに轢かれたという痛ましいものでした。

一応ジュースの缶を置いておくか迷い、私は近くの自動販売機で同じジュースを買って置いておくことにしました。

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再び横断歩道に戻ると、そこには10歳ぐらいの男の子がいました。

ずっとしゃがんで手を合わせる彼から何故か私は目が離せなくなりました。

「…君はこの子の友達かな?」

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私の問いに彼は首を横に振りました。

「じゃあ同じクラスなのかな?」

また彼は首を振りました。

私はオレンジジュースを花束の側に置きました。

今度は誰も間違えて蹴らないように。

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「……づ……れ……」

男の子はボソボソつぶやきました。

「え?」

私はふと腕時計が目に入りました。

街灯に照らされた腕時計。

時刻は22:19。

「君、もう家に……」

よく見るとその男の子は白い着物のようなものを身にまとっています。

「……君は……何者?」

すると彼はいきなり走り出しました。

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私は無意識に後を追おうとしたその瞬間、またオレンジジュースの缶が倒れました。

私はびっくりしてオレンジジュースを凝視しました。

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すると目の前すれすれで車が猛スピードで通り過ぎて行きました。

頭から血が抜けてへなへなとその場に座り込んでしまった私が見たものは、さっきの男の子が悔しそうに顔を歪め、消えてゆく姿でした。

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後から聞いた話ですが、10年ほど前に男の子が塾帰り事故で亡くなってしまったそうです。

それから、あの横断歩道では毎年彼の命日になると誰かが大怪我をしていたそうです。

そして去年、とうとう死者が出てしまったので対策を考えていたそうですが…

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私はもしかしたら昨年亡くなった少年に助けられたのでしょうか?

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それ以来友人は毎年少年達の命日になると、花束とオレンジジュースを2本その横断歩道に持って行っています。

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