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中編3
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地下鉄の話

その日は6年ぶりに高校のときの仲良し組が集まるとかで遅くまで飲んでいた。

                          

お開きになり、みんなバラバラに帰っていった。

俺は地下鉄を待った、いつも通勤で利用している地下鉄だ。

      

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数分待ってすぐに来た、だが不思議なことに気がついた、

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誰も乗っていないのだ。

「まぁ夜も遅いし人が少なくても当然かー」

酔っていたこともあり、あまり深く考えずにいた。

俺が乗るときに小学校高学年くらいの女の子が降りていった、

中にも数人サラリーマンらしき人も乗っているし誰も乗っていないというのは気のせいだったのかと安心した。

                           

ポケットからスマホを取り出していじり始める、

特にすることがあるわけでもないが暇なときはこうするしかないのだ。

                  

10分ほどして、そろそろ降りなきゃなと思い、スマホを片付け、なんとなく窓の方を見た。

              

                     

すると乗った時に見たサラリーマンが窓に写っていない。

あれ?と思い、振り返って探してみると、サラリーマンは1つ前の席に移動していた。

まぎらわしいことするなよ。

そう思いながら、また視線を窓に戻した。

         

shake

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戻した視線の先の窓には俺と入れ違いに降りた少女がはっきりと写っていた、

いや、写っているのではない、はっきりと見えすぎる、

少女は窓の外側にいるのだ、俺に向かって満面の笑みを見せている。

俺は何が起きているのかわからず、10秒ほど硬直していた。

         

逃げなきゃ!そう思い振り返るとさっき見たサラリーマンがいない。

涼しいはずの地下鉄でワイシャツが汗で張り付くのを感じた。

                

「うふふふ♪」

少女の歌うような笑い声が聞こえてくる。

どうしていいかわからず、俺はとりあえず後ろの車両に向かって走った。

              

走りながら少女のいる右側を見ると、少女が人とは思えない蜘蛛のような動きで這いながら追いかけてくる。

俺の心臓が壊れそうなほど拍動した。

                  

見ないようにしようと前だけを見て走った。

無我夢中で走っているとすぐに一番後ろの車両まで辿り着いた、

もう逃げ場がない!

                 

俺は頭を抱えうずくまった、

怖くて目を瞑りながら耳を澄ますと少女の笑い声が聞こえなくなっていた。

         

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恐る恐る目を開けて右側を向くと、そこには少女がいなかった。

逃げ切ったか、怖かった、こんな体験二度としたくない。

shake

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ゴン、ゴン、ゴン!

鈍い音が後ろから聞こえる。

なんだ?

振り返るとそこには少女が外から頭を窓に打ち付けている。

額からは血も滲んでいるが少女は笑みを全く崩さない。

「うふふふふ♪逃げられると思ったー?」

~~~~~~~~

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気がつくと俺は見知らぬところで横になっていた。

「お目覚めになりました?」

俺が寝ているベットのとなりで看護師の女性がいた。

話を聞くとどうやら俺は地下鉄で倒れているのを朝一番で来た車掌さんに見つけてもらい、救急車で病院に運ばれたらしい。

検査はしたがどこにも異常はなかった。

もうあんな体験はしたくない、俺はあれ以来早起きして自転車で通勤するようにしている。

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