短編1
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小さな人間

あれはある夏の、まだ日も上らず蝉も鳴かない早朝。私は当時所属していた部活の練習に向かうため、友人と二人でいつもの通学路を歩いていた。

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同じ場所を歩いているはずなのに、早朝というだけで何か不思議な雰囲気を放ついつもの通学路に眠気を忘れ、すこし浮かれた気分で歩いていると、目先30メートル先の暗がりのなか街灯が一本不気味に照らす曲がり角からゆっくり無人の自転車が出てくるのがみえた。

それもかなりゆっくり。

普通じゃないものを感じた私が立ち止まろうとした時にすでに友人も立ち止まったので、「あぁ同じものをみているな」と感じた。

目先のものは自分の勘違いではないとわかると鳥肌がたった。

そんなことを考えていると、自転車の回りをうろついている小さな人間のようなものが見えた。この時点で私たちは互いのみているものが普通じゃないのを無言で確認した瞬間踵を返し走り出していた。

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