村から離れた誰も通らない山の中。
石をポンと置いただけの粗末なお墓に兄と妹が立っていた。
妹は土の中に眠っている父さんを想い、涙を流していた。
兄は一生懸命に涙をこらえていた。
今でもあの日の事は昨日のことのように覚えていた。
「待ってろよ!沢山、獲物を捕って戻ってくるからな」
そう言い残し、父さんはあの朝、幼い僕たちにやさしい笑顔を向け出かけて行った。
だが夜になっても、翌朝になっても戻ってきてはくれなかった…
父さんは悪魔のようなあいつらに殺されたんだ。
無残にお腹を引き裂かれて!
「これから仇を討ちにでかけます」
「僕たちはやっと見つけたんです。父さんを殺したあいつらを」
まだ幼い兄と妹だったがその瞳には死をも覚悟した鋭い光が感じとれた。
村の外れにある小さな食堂。
今の時間に父さんの仇のあいつがいるのは調べてあった。
兄と妹は気づかれないようにゆっくりと近づき窓からそっとのぞく。
「あっ!」
何と父さんの仇の男、そしてもう一人の仇までもが一緒のテーブルにいた。
「あああ…神さま…」
兄はこの幸運に感謝した。
兄は妹の手を握り締め見つめ合い無言の意思を伝え合い、ついに窓から中へ飛び込んだ!
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村の外れにある小さな食堂。
笑いながら食事をしていた2人の男と女の子。
と、突然、窓から2匹の狼が飛び込んできた。
そこにいたのは、あまりの突然に何も出来ずに倒れ込む 赤い頭巾をかぶった女の子 と猟師 だった…
めでたし めでたし
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話