「すみません。火事です」
一本の電話。
「場所は・・・」
数十分後。
通報のあった公園に辿り着いたが、何も燃えていない。
消防士が困惑していると、女の子が近づいてきた。
「火はあっちだよ」
指差す方向には公衆トイレがあった。
公衆トイレに近づくたびに焦げ臭さが鼻をさす。
公衆トイレの中は異様な雰囲気が漂っていた。
泥だらけの子供たちが数人遊んでいた。
「火事はどこ?」
消防士が女の子に問いかける。
「そこだよ」
消防士を指さすと、公衆トイレの中にいた子供たちが一斉に消防士に向かって何かを投げつけた。
水風船だ。
「おいおい、何を・・・」
足元に落ちた水風船を消防士が踏んでしまった時、異臭に気がついた。
水風船の中身はガソリンか灯油のようだった。
公衆トイレの外を歩いていた男性が消防士に気がついた。
続く。
作者元消防士