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ああ、いやだ、最悪だ。
また、目が覚めた。
このごろ、真夜中に急に目が覚めるという現象に頭を悩ませていた。
何のいたずらか、目が覚めるのは決まって二時二四分。スッと目が覚めるのだ。
中途半端に目が覚めてしまうので、朝、非常に疲れる。正直、微妙に寝たりないのだ。
微妙に。
この日も、普段と変わらないと思っていた。
どん
リビングの方で、物音。
はっとして目を開ける
最初は、聞き違いかと思った。布団にもぐり、眠りにつこうと努力をする。
どさッ
聞き違いであってほしいと思った。
両親も妹も同じ部屋で何事もなかったかのように眠っている。
それなのに、何が起きているんだ。何が始まるんだ。
心臓が早鐘を打つ。
ずるッ……
聞き間違いなんかではない。
背筋が凍りつく。その意味を、初めて体感した。
一生で、こんなに恐怖を感じたことはない。
どんッッ!!
「っ!」
テーブル。
リビングのテーブルの上に何かが落っこちた。天井から、何かが落ちる音だ。
重たい、重たい何かだ。
どさ……
何かは、テーブルから床に落ちた。
この時点で、もう震えが止まらなかった。圧迫感。緊張。張りつめた空気が苦しい。
シーツをぎゅっと握りしめる。
ずるッ………
床を這う、音。
どんッ……どさ……ずるッ………どん…どさ…ずる…どん、どさ、ずる、どん、どさ、ずるッ
繰り返す。繰り返す。
規則的に、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
どんっつっっっ!!!
「無理無理無理ッおとおさ、父さん起きて!ねぇッ」
耐えきれなくなり、半ばパニックになりながら父を揺さぶる。
寝ぼけ眼をこすりながら、父が目を覚ましたその時だった。
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shake
女
女が
女がこっちを
なぜか開いていたふすまの隙間から
こっちを
みて
みてる、見てるみてる
しろい
青白い
女
「いやぁぁあぁああああああああッ!」
尋常じゃない恐怖に耐え兼ね、叫ぶ。
母が飛び起き、父は目を丸くしていた。妹も、寝ぼけながらこちらを見ていた。
明かりがつく。
私はただ、茫然と、女が立っていた、襖の奥を、見つめていた。
両親はこの体験を信じてはくれず、めったなことをいうもんじゃないと私を叱った。
この日から、私は、何が起きても、驚かなくなった。
怖がることができなくなった。
おかしなことが起きても、両親に話すこともなくなった。
怖い思いをした上に叱られるなんてまっぴらごめんだ。
それに、
あの女。
綺麗な、白装束をきた、美しい女以上に、コワイものなんて。
ねぇ?
作者ろかせな
今までで一番、私が恐怖しました。
慣れてなかったのもあるかもしれません。
何か、伝えたいことがあったのでしょうか。
あの家からはもう引っ越してしまいましたから、尋ねることは、できません。