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数年前のある冬の夢の話。
僕は夢の中で旅館の一室にいた。
だが、何かがおかしい。
僕はふと辺りを見渡した。
すぐに違和感の正体が分かった。
その部屋には窓、というか出口が一つもなかった。
本能的に「ここは怖い」そう思った。
もちろん、出れるはずもないのだが。
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部屋に一台、テレビがあることに気がついた。
少しでも気を紛らわせるためにと電源を入れた。
そこには、なぜか薄暗い和室の隅ずっと映されていた。
気味が悪いのでチャンネルを変えるも、ずっと同じモノしか映らない。
「おかしいな」
そう思い何度もチャンネルを変えてみるが変化はなかった。
すると突然テレビから小さな声で
「-------くね-------くね-------くね」
と断続的に聞こえ始めた。
僕は気になって音量を上げた。
「まだ聞こえない」
「まだ音が小さい」
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僕は音量を上げ続け、ついに最大音量まで上げてしまった。
それでもその声は聞き取れない。
「壊れてんのかな」
その次の瞬間
耳元から大音量で
「イクネイクネイクネイクネイクネイクネイクネイクネ」
と女なんだか男なんだか分からない声が響きわたった。
そこで目が覚めた。
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目が覚めるとままだ夜の3時だった。
「変な夢だなぁ」
そう思いつつ、僕はもう一度眠りに落ちた。
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それから何年かたった。
僕は今、一人で旅館に泊まっている。
問題は、この部屋に窓が一つもないということなんだ。
作者大野康平
初めまして、初登校させて頂く者です。
今回は試験的な部分もありますので、あまり面白くはないかもしれませんが、良くも悪くも評価して頂ければ幸いです。