高校時代の話です。
当時部活が忙しく毎日PM7時から8時の帰宅が続きました。
バス停に向かうのはいつも3人組でバスを待ってました。
19時42分のバスに乗り遅れると21時20分しか無くなり,
1時間以上待たなくていけないので
私と友達3人は何時も19時42分のバスで帰宅しました。
いつものようにバス停で待っていると定刻通りにバスがやってきました。
しかしいつもと違い他校の生徒が少なくマバラでした。
3人はいつもの席に着くとしゃべり始めました。
しゃべっていて何時もと違う事に気が着きました。
私は一番後ろの右脇の席から視線を感じました。
何気なく後ろを見ると、青白い顔の女が座ってました。
年は25から30ぐらいでしょうか?
グレーのカーディガンにスカート姿でした
私は仲間と話す傍らその女がやけに気になり
女の方を時々チラチラと見てました。
その女性は目を開けたまま瞬きもしないで、ジッと座ってます。
バスが揺れてもその女は揺れることもなく座ってました。
私は直感的に「この女はこの世の女ではないのでは?」と感じました。
そうしてる間にバスは停留所に着き私たちは降りました。
降りて後ろの右端の窓を見るとあの女が座っていました。
身動きひとつしない状態です。
その姿は人ではなく人形のようでした。
私は「ゾクゾク」と背筋が冷たくなりました。
一週間が過ぎました。
何時もと同じ19時42分のバスに乗りました。
その日も人が少なく、私たち3人を含めても6人しか乗ってませんでした。
やはりあの一番後ろの右側の端の窓際に、こないだと同じ女が居ました。
私は怖いので見えないふりをして前の方の座席に座りました。
私の前の座席に座った二人に何気なく聞きました。
「お前ら二人一番後ろの右端に女の人が座ってるのが見えるか?」
そう聞くと二人は振り返り私の頭越しに後ろを除きました。
二人とも「後ろの席は空いている。誰も居ない」と言いました。
「誰もいない。」しかし今も私の目には座っている女が見えている。
背筋が凍るような気がしました。
もう後ろを見るのは止めようと思った矢先
私の脇にあの女が顔を並べるように居ました。
私の耳元により「お前私が見えるのか?」と聞きました。
そう話す吐息は、耳に当たりものすごく冷たかった。
わき目で見た女は青白い顔に目を吊り上げて、すごい顔です。
私は震えるのを我慢して、一生懸命見えないふりをして
前の座席の二人に話しかけました。
私が話しかけていると、いつの間にかあの怖い顔の女は消えてました。
ホットして、私の降りる停留所に着たので後ろを見ましたが
女は居ませんでした。
しかしバスがゆっくり走り出した時、
バスの後ろの座席の窓側に薄笑いをして私を見ているあの女が居たのです。
女と目があった私は10分ほど停留所で立ちすくんでバスの赤いバック
ライトが遠く点になるまで見てました。
街の中だから私に憑いてくるわけがない。
あの時間のバスに乗るのは辞めようと思いながら、街灯の当たる道を
一人歩きだすと後ろに人の気配が。
私はバスでの事があるので、振り返る事が出来なかった。
そして後ろから当たる街灯の影を何気なく見た時だった。
「俺の頭が二つある。」頭の影が右肩の上にもう一つあった。
私はおばあさんが居る家に行けばなんとかなると思い駆けだした。
家の門をくぐろうとした時だ。右耳に「ギャー」という声が響いた。
右耳がギンギン言うほどの声だった。
私はおばあさんから聞いていた魔よけのお地蔵さまが
門の前にあったことを思い出した。
門を入ると玄関に塩を持ちおばあさんが仁王様のように立っていた。
「進。お前、今何か門の前で落としてきただろう。」というと
塩を私の頭から振りかけた。
「おばあさんどうしてわかったの」と聞くと
「私の耳にもギャーという声が聞こえた」と言うと
また荒塩を振りかけて、お経を拝み始めた。
しかし、お婆さんのお経を拝むがだんだん私の肩が重くなっていった。
「お婆さん肩が重い」そう言うと私は土間の淵に腰を降ろした。
お婆さんは「進、また厄介な物を拾ってきたな」と言うと
奥に消えて行き5分、10分。
私は土間から家に入る事すら出来なくなって行った。
いくら心の中でお経を拝んでも効かない。圧し掛かる物は肩から背中に
移動し始めた。
「助けて、お婆さん」叫ぶが、叫びに成っていないのが自分にもわかった。
お婆さんが息を切らして戻ってきた。
「進。気を確かに持て。いいか、今からわしがその肩についた、悪霊を追い払う。
お前はお経を拝み続けろ。」そう言うと私が土間の淵で寝そべるような姿勢の周りに
粗塩を円を描くように積んで行った。
お婆さんは「もう少しのしんぼうだよ。」と言うと
何処から持ってきたのか、長さが1mほどある数珠を出した。
そして、私の寝そべる頭から数珠を掛けて行った。
寝そべる私の周りに数珠が行き渡ると、何か何時もと違うお経を唱えながら
私と肩にお婆さんが手を添えた。
「ギャー、どうして?どうして?」と言う声と共に、腰の辺りまでの重みが
お婆さんの添えた手の方に吸い寄せられるように流れて行った。
お婆さんは、息を止めると手を私の肩から離すと脇に置いてあった、瓶に
手を入れると、今唱えていたお経とはまた別の呪文のようなものを3回唱えて
手を瓶から出すと真っ赤な半紙に字を書いたもので覆った。
すばやく、瓶の周りを紐でくくると「退散」と家中に響く声でかめに向かい
発した。私はあの圧し掛かられる苦痛から解放された。
おばあさんは、「どうして、気を抜いた。お前は憑かれ易い体質だから
気を抜いてはいけない。おかしな事があったら気を入れて当れ。」そう言うと
瓶と大数珠を抱え、奥に戻って言った。
私は再び、土間に上がろうとするとまた、お婆さんが来て「まだ終わっておらん」と
私を土間から押し出すと今度は、清水であろう水を私の頭から掛けた。
お婆さんは呪文をまた唱えると、「もう大丈夫だよ」と言いにこやかに笑った。
そこに、後ろからお母さんがやってきて「何玄関でやってるの?早くご飯食べなさい。」
そう言うと、引き上げて行った。
お婆さんは「お前の母さんは、霊感0人間だかね。仕方ない。」そう言うと
「二人の秘密だよ」と言い
何食わぬ顔で奥の自分の部屋に戻って行った。
お婆さんは翌日早くにあの怨霊の入った瓶を抱えて、どこかに出て行った。
それから、3回ばかり19時42分のバスに乗ったがあの女は出なくなった。
作者退会会員
おばあさんシリーズですが
前作とは少し異なります。
新しくこられて、私の作品を読んだ方は
スルーしないでください。
お願いします。