短編2
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白い子狸

夜道を歩いていると「ケーンケーン」と聞こえてきた。

近いなと思って足元に目をやると白い子犬みたい

腰を屈めて目を凝らしてみた

「あれぇタヌキかよ」

白い子狸はクリクリッとした目で僕を見て逃げて行った

少し離れたところで振り返って又見てる

気になるので後をついて行こう

子狸は少し行っては振り返り少し行っては振り返って

通夜の最中らしい家へ入って行った

その時にはもう案内されて来た事を確信してた僕は遠慮なく訪ねた

年配の女性がお待ちしてましたという風に奥へ案内してくれた

奥の部屋は和室に一組布団が敷かれていて、その脇に年配の男性が座っていました

僕はお悔やみを述べて不躾な質問をした

「ご遺体が見当たりませんが・・」

男性はジリッと、にじりよって手をついた

「遺体は盗まれました。取り返して頂けませんか。」

断わるのはムリっぽい感じだったが一応聞いてみた

「行くしかないですよね」と

盗んだ犯人はこの先の女性で、こちらの家人は取り返しに行って追い返されたらしい

とりあえず行ってみるかと表に出たら子狸が待っていた

後ろで女性が

「あの女は大事な所で必ず嘘をつきますから、気をつけて」と言った

死体泥棒にご免くださいって言うのも変かなと思ったので

勝手に扉を開けて内へ入ってみた。中はかなり暗くてよく見えない

子狸が足元をチョロチョロと通って一緒に入って来た

逃げる時に困るから外へ出そうと捕まえた

突然バタンと後ろでドアが閉まり部屋が明るくなる

四畳半程の部屋で正面と左右にそれぞれ黒い扉がある

それだけでも気味悪いが正面の扉の脇に居た女はもっと気味悪い

黒い和服から二つの頭が出て、顔にはびっちりとウロコが、真っ赤な口からチロチロと舌を出していた

襲われると思った時、女は意外な態度をとった

僕の左右と正面の扉を示しながら

左の顔が言う

「この部屋の扉、いずれかひとつは外への出口。正解の扉を選んだら死体は返そう。なお質問は一回」

続けて右の顔も

「私にも質問は一回。つまりオマエは二回の質問で正解の扉を見つけろ。なお不正解の出口を選んだ場合オマエは地獄へ堕ちる」

簡単だなと思い質問をしようとしたら

抱きかかえてた子狸が手をカブッと噛んだ

痛い

子狸をにらみつけたが僕はすぐに子狸に感謝した

おかげで大事な事思い出した

「女は大事な所で必ず嘘をつく」

よかったら皆様もお考えください

次は解答編になります

怖い話投稿:ホラーテラー 守り人さん  

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