個室とかだったり、トンネルだったり、音が反響する場所は至るところにある。
それと同様にやまびこもそれと同じような感じだろう。
一人の青年がいた。その青年は色々な山に入っては、キノコを探している。別に学者とかじゃない。
ただ趣味として珍しいきのこがないか探している。
秋、木葉が枯れ落ちるがその変わりきれいな色を付けて赤や黄色などで町を染め上げる。その日もきのこ探して遠くの方に見える富士山の麓まで来た。いつも行っている山はたいして大きくはない。だから同じようなきのこしか見つからなく少しつまらなかった。
ある時その青年はネットでキノコがたくさん生える場所を調べていた。
すると書き込みに「富士山の麓はキノコが沢山ある。僕は奥の方まで見たことがないので分からないが、多分奥の方は誰も踏み入れないから見たことのないものがあるかもしれない。」そんな一文を見て興味を持ったその青年は、次の日早速出かけたのである。富士山の麓の山は「富士の樹海」と言われて、踏み入ったら最後、出られない。その話を友達から聞いて、富士の麓は行かないようにしようと、勝手に決めていたのだが、ネットによると、今ではしっかり道が作られそこから外れなければ迷ったりしない。
外れなければ。
青年は富士山の麓に付き早速樹海に足を踏み入れる。情報のとおり、道みたいな物が奥の方までずーっと続いている。
その道を歩きながらきのこを探す。
歩くにつれて段々お腹が減ってきたので、食事を取ることにした。
お茶と多めに買っといた、駅弁。
ムシャムシャ食べている時、ふと奥の方に目がいった。そこには見たこともない真っ青なキノコがあった。見たこともないキノコが今青年の目の前に、現れた。青年はいてもたっても居られず荷物と弁当はそのままそこに置いて、きのこのある場所まで急いでいく。
キノコに夢中になった青年は気づかない。道を外れたことに。
その真っ青なキノコは少しひらべったい漏斗状になった形をしていて大きさは、男の人の手位はある
持ってきたカメラのシャッターを切る。何枚も何枚も、何が楽しいのかシャッターを切る。それから周りにもっと珍しいやつがないか探していると、奥の方に、今度は薄い桃色のきのこの群生を見つけた。
そのきのこも青年は見たことがない。
もしかすると、また奥の方に行けばもっともっと珍しいきのこがあるに違いない。そう思い興奮気味に奥の方に足を運ぶ。
気がつくと辺りは寒い風が吹き、夕刻迫る頃になっていた。そこでハッとなった。ここは一体何処?
キノコのことばかり頭に入れていた青年は、怖くなってきた。もしこのままこの樹海から出られなかったら。
話が長いのでここで一旦切ります。
作者片隅