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短編2
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寝耳に水

『おい、しっかり持てよ』

『持ってるだろ 頭のほうが重いんだよ』

『それより出刃庖丁で切れると思うか?』

『出刃じゃ無理だろ ノコギリないのかよ』

男二人はビニールに包まれたものを

抱えてそんな会話をしていた

いったいなんの話なんだ…?

まさか?!死…体?

頭のほうが重いんだよ…

出刃庖丁で切れると思うか?

ノコギリないのかよ?

死体解体か?!

あのビニールの大きさは

人一人分の大きさに等しい

警察に通報したほうがいいのか?

待て、落ち着け

俺が通報したなんてバレたら

俺も解体されるかもしれない…

俺は駐車場でたまたま見た

隣人の様子と会話に想像を巡らした

隣人とは会えば軽く会釈をする程度で

言葉など交わしたことはない

それにここの駐車場は薄暗いから

隣人は俺が車の中にいたことに

おそらく気づいていない

だからあんな会話をしてたに違いない

俺は隣人が気になって仕方なかったが

なすすべがない

まんじりともできず朝が来た

カーテンを開けると

駐車場にパトカーがいた

他の誰がか通報したのか?

とにかく良かった これで安心だ

ピンポーン!

早速警察が来た

『はい』

『朝早くにすみません

実は、あなたにお聞きしたいことがありまして』

『あ、はい』

俺は昨日駐車場で見たことと

男たちの話を話そうとした

『あなた一週間前の金曜の夜どこにいましたか?』

『金曜の夜ですか?』

俺は金曜の夜、学生時代の友達と飲みに行っていた

『あなたと一緒に飲んでいた伊藤さんが亡くなりました

あなたが伊藤さんを殴っていたと目撃情報がありまして

重要参考人として署までご同行願えますか?』

『え?!伊藤が死んだ?…』

俺は殺人容疑で連行された

寝耳に水だった

酔っていて明確には覚えていないが

確かに喧嘩になって殴ったような記憶はある

運が悪いことに俺と伊藤は昔から仲があまり良くない

仲間内では有名なことなので誰かがそれを話したら

俺にとって全く不利な話だ

俺は捕まった腹いせにパトカーの中で

昨夜の隣人のことを話すと

隣人宅に別の警察官が確かめに行ったが

隣人はマグロの解体を自宅でしていただけだった…

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